昨年、NASとしては異例のクラウドファンディングでの成功を収めたことも記憶に新しい、UGREENのNAS「NASyncシリーズ」から新型モデルが登場しました。
大好評だった「DXPシリーズ」の新モデルとして、グラフィック機能やネットワーク機能を強化した新モデル「DXP4800 GT」を今回はレビューしていきます。
新モデル「DXP4800 GT」のスペックを確認
LAN(ネットワーク)に繋がる外付けハードディスクと紹介されることも多いのがNASですが、その正体は「ファイル共有や様々な機能が動くサーバー」です。
よってPC選び同様にCPUやメモリといったハードウェアの性能がそのまま快適さに繋がってきます。
新モデルのDXP4800 GTは「DXPシリーズのGTシリーズ」と、これまでの「DXP4800 Plus」から派生したモデルという扱いなので基本的には同じでありながら、GTシリーズならでは、GTシリーズからというスペックにもなっています。
そこでまずはDXP4800 GTの基本仕様を、筆者が過去にレビューをお送りしたDXP4800 Plusと比較していきます。
| モデル名 | DXP4800 GT | DXP4800 Plus |
|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen Embedded R2514 (4コア/8スレッド) |
Intel Pentium Gold 8505 (5コア/6スレッド) |
| メモリ | 8GB (DDR4 8GB×1/2スロット/最大64GBまで拡張可能) |
8GB (DDR5 8GB×1/2スロット/最大64GBまで拡張可能) |
| 内臓ストレージ | 64GB eMMC | 128GB SSD |
| HDDベイ | 4 | |
| SSDスロット | 2(M.2 SSD) | |
| 有線LAN | 10GbE×2 | 10GbE・2.5GbE |
DXP4800 GTは2つある有線LAN(イーサネット)ポートがどちらも最大10Gbpsで通信できる10GbEになりました。
代わりにUGOS Proがインストールされる内臓ストレージがSSDより低速なeMMC、容量も128GBから64GBに半減していますが、使用に際してユーザーがデータを置いたりする場所でもないので「スペック表では劣る部分だが、実用上は気にしないでいい」部分でしょう。
DXP4800 GTに搭載されているCPU「AMD Ryzen Embedded R2514」ですが、詳しい人からすると「結構前の世代のCPUだ」と気になってしまうかもしれません。
確かにCPUとしては古めの製品ですが、Ryzen Embedded R2514は「産業機器への組み込み向けCPU」なのでNASのように大きな負荷はかからないものの、長期間稼働したままになる機器での利用に最適化されています。
また敢えて古めのCPUを採用したことで、価格高騰が著しいDDR5メモリではなく枯れたDDR4メモリが利用できるので、コストを抑えてメモリの大容量化を行えるというメリットがあります。
実際、NASであればDDR4比で高速なDDR5というメリットはあまり生きてこず、DXP4800 GTは現在の市況をふまえながら「NASに求める性能を、お買い得に、堅実に提供できるハードウェア仕様」というわけですね。
DXP4800 GTの外観を写真でチェック
続いてDXP4800 GTの外観を写真でチェックしていきます。

DXP4800 GTの筐体はDXP4800 Plusから大きな変更はありません。
ですがいつものUGREENのガンメタリック系の筐体カラーはそのままに、フロントフェイスやHDDベイはゴールドがあしらわれ、ちょっとゴージャスな雰囲気に。

HDDベイの「01~04」のフォントも凝ったデザインで、ゴールドでの印字になったことでいい意味でガジェット感が増しています。筆者が真っ先に思い浮かべたのはSFモノに出てくる戦艦の発艦ハッチ。
フロントのインターフェイスはフルサイズのSDカードスロット、USB Type-CとUSB Type-AとこのあたりもDXP4800 Plusから変更はありません。
デジカメなどをここにつなぐことで写真をワンタッチで取り込むことができます。ホームユースはもちろんこと、フォトスタジオなどで使うにも便利な拡張性です。

続いて背面を。
USB Type-Aポートは合計3つ。有線LAN(イーサネット)ポートは2つで、どちらも高速な10GbE対応。
おもしろ機能としてはHDMI出力ポートがあり、DXP4800 GTをテレビやモニターにつなぐことで、スマートフォンアプリから操作して大画面に保存された写真や動画を写すことができます。

過去のモデルでも好評だった背面ファンのマグネットフィルターはDXP4800 GTにも搭載されています。
NASって家庭やオフィスだとどうしても「ラックの下の方」とか「デスク下の隅」のような場所に設置されがちで、そういう場所って埃っぽいのでしばらくぶりに見ると吸排気ファンが埃まみれになってるんですよね。
でもDXP4800 GTだったらこのフィルターを外して掃除すればOK。
取り外しもマグネットで留まっているだけなのでツールレスでメンテナンスできます。

NASなのでハードディスクを積んで使うわけですが、このハードディスクの取り付けもツールレス仕様。
専用治具でハードディスクトレイをロックしていない限り、ドライバーなど工具なしにハードディスクトレイの取り外し、取付を行うことができます。


さらにハードディスクトレイへのハードディスクの取り付けもツールレス。
左がロック状態で右がロック解除状態。ロック解除するとトレイの幅が広がるので、ここにハードディスクを置いて挟み込むだけで固定できます。


実際にハードディスクをロック解除状態のトレイに乗せ(左)、そして開いていたトレイを閉じる(右)と固定されるわけです。
ツールレス仕様は他のメーカーでも見かけるんですがここまでスマートな仕組みじゃないんですよね。ハードディスクのネジ穴に専用の治具をはめ込んでいくような仕組みで、うまくはまらないと結構ストレスな感じ。
UGREENのNASに採用されているこの方式だと本当に力を入れることなくサクッとハードディスクが固定、装着できるので、初回のセットアップはもちろん今後ハードディスクの交換や増設の際もストレスレスです。
ブラウザ、アプリ、PC、モバイル、さまざな方法、機器でセットアップ
UGREENのNASyncシリーズ共通ですが、とにかくセットアップや操作が簡単です。



スクショはエントリーモデル「DXP2800」のものですが、UGREENのNASはセットアップがスマホのアプリから簡単に行えます。
NASといえばPCの周辺機器であり、ネットワークなどにある程度精通している人でないと使えない機器という印象がありますが、そこはスマートフォン向けの充電器やモバイルバッテリーなど、スマートフォンを便利にすることに長けているUGREENのNASです。スマートフォンファースト、スマートフォンからの設定やNAS利用が容易に行えます。
このときの設定方法ですが
・スマートフォンにUGREEN NASアプリをインストール
・NASyncをWi-FiルーターにLANケーブルで接続
・スマートフォンもWi-Fiに接続
と、これだけ満たしていればあとはアプリを開くと自動的にNASyncを見つけ、セットアップや各機能の利用ができます。簡単~。

もちろんPCでの利用も簡単です。
これはWebブラウザでNASyncにログインをした画面。基本的にPCライクな操作で設定を行ったりフォルダを作ったりできるので、PC操作が得意な人はこちらの画面からどんどん設定していってもいいでしょう。
プライベートクラウドはプライベートAIに
UGREENがNASに力を入れる際によく言っているのが「プライベートクラウド」。
GoogleドライブやiCloud、OneDriveといったクラウドストレージは非常に便利な反面、大容量になってきたスマートフォンのバックアップ先として利用するには無料版では容量が足りず、有料版でも毎月それなりの費用が発生します。
そこで「自宅にデータのバックアップ先を用意すれば、長期的に見たら安く済む」「プライベートな写真など、ネットのどこともわからない場所に預けるのは不安でしょ」ってことで、自分専用のクラウドストレージとしてプライベートクラウドと打ち出しているわけです。

DXP4800 GTなど新モデルからは一歩進んで「プライベートAI」「AI NAS」を前面に打ち出しています。
AIも入力された様々な情報を学習し回答を行うものですが、この学習した情報が「自分以外の回答に使われるのではないか」という不安があります。
実際に仕事でAIを使っていたところ、AIに質問した内容、参考として渡したデータが他の会社のAIユーザーへの回答に使われてしまい、思いがけないところで機密情報が流出するといった騒ぎも起きています。
そこで「NASの中でAIを動かし、外部にデータを送信することなく自分のためのAIを使おう」というのが、プライベートAIやAI NASというUGREENの新しいNAS活用提案です。
DXP4800 GTは仕様の項でもふれた通り、ハードディスクやSSDといったストレージだけでなくメモリの増設も可能です。
さらにCPU内臓のGPUもあり、専門的なAI用のコンピューターと比べると劣りますが、自分用のAI環境を構築、動作させることも可能です。
初心者から玄人まで、どんなユーザーにも最適なNAS
だーっと書いていきましたが、UGREENのDXP4800 GTは初心者から玄人まで、どんなユーザーにも最適なNASです。
ハードディスクの取り付けや初期設定はPCなどデジタル機器が苦手な人でもとっつきやすいフレンドリーなつくりなので初心者でも簡単に使い始めることができます。
さらにメモリの増設や、専門的な知識があればDockerを活用する、プライベートAI環境を構築する……etc…とデータ保存に限らない活用の道もあり、玄人でも無限に使い道を模索し使い倒したくなる、そんなNASに仕上がっています。
気になる価格は定価で99,800円。ハードディスク台数が2台の下位モデル「DXP2800 GT」なら69,800円と、仕様・性能からすると破格なのはこれまでのUGREEN NASyncシリーズ同様。
もちろん発売記念セール等で上記より1万円~1.5万円安い値段で今なら購入できますし、停電時にデータ消失を防ぐ非常用電源(UPS)とのセットで定価よりも安いスペシャルセットも用意されています。