Shokz OpenRun Proは「ながら聴き」に割り切ったら最強

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Shokz(旧:AfterShokz)の骨伝導方式のワイヤレスヘッドセット「OpenRun Pro」を使い始めて結構経ったので、今更な気もしますが簡単にレビューしていきます。

ShokzのOpenRun Proは2022年末時点の同社の骨伝導方式のワイヤレスヘッドセットの中では最上位モデル。
丁度昨年末~今年頭に国内でもクラウドファンディングでの先行販売が実施され、筆者も一般発売を待って3月頃に購入しました。

従来モデル比で音質が向上した等、売りは色々あれど、とりあえず1年近く使って思うことを書いていきます。

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OpenRun Proを買った理由

目的としては「長時間のビデオ会議でも楽になりそう」だから。

最近でこそ発表会などリアルイベントの機会も増えてきましたが(面倒で全然行かなくなったんですが)コロナ禍では取材の機会はオンラインで、質疑応答まで含めると1時間以上ビデオ会議に繋いだ状態で色々聞くことが日常になっていました。

イヤホンでは耳穴を長時間塞ぐのは異物感にも疲れますし、聴き疲れも相当感じます。
かといってオーバーヘッドのヘッドホンを使った場合もイヤーカップに耳が包まれるので結構蒸れて不快です。

その点、骨伝導方式のヘッドセットであれば耳穴を塞がないため、イヤホン・ヘッドホンそれぞれに感じる不満をクリアしています。

つけっぱなしで「通知を聞く」スタイルを提案したXperia Ear Duo

「耳穴を塞がないヘッドセット」としてはソニーの「Xperia Ear Duo」を以前使用していましたが、耳穴を使ってヘッドセットを固定する仕組みなので、聴き疲れこそあまりないものの、それなりに異物感を感じ、長時間身につけたまま使うのは結構しんどかったんですよね。

OpenRun Proの本体などをチェック

OpenRun Proの本体などをチェックしていきます。

まずはパッケージ。見ての通りスポーツ用途が主なコンセプト・ターゲットです。
ShokzのラインナップにはOA用途のブームマイク付のいかにもなモデルも存在しているんですが、顔のデカい筆者が使うとマイク部分がものすごく邪魔になるので、引きこもりにも選びやすいパッケージにしてもらえないでしょうか。

続いてパッケージ内容物。
OpenRun Pro本体以外は充電ケーブルとキャリングケース、そして取扱説明書が3部とシンプル。

一瞬「替えのイヤーピースは?」と思いましたが、そういえばコレは骨伝導方式のヘッドセットでした。最近はイヤーピースが3~6種くらい入ったフルワイヤレスイヤホンばかり購入していたのでちょっと不思議な気分です。

OpenRun Pro本体は全体的にマットな質感。
1年弱使って思うのはマットな質感は手触りこそいいものの、皮脂汚れが目立ちやすく拭き取りづらいという欠点が目立ちます。いわゆる「耳掛け」ですし、骨伝導方式の仕組みとして「こめかみ部分を挟み込む」ように身につけるので装着位置もズレづらいので、つるっとした仕上げの方が洗いやすくてよかったかも。

左こめかみ側のレシーバー部分に設けられたボタンは俗に言う「マルチファンクションボタン」で、着信時の応答や音楽の再生・停止などに利用します。

右側のハウジング部分にボタンなどはありませんが、耳の後ろに来る部分にボリュームボタン(兼 電源ボタン)とマグネットで着脱する充電ケーブル端子が設けられています。

充電ケーブルのマグネットの磁力は結構強いので、充電中にケーブルがズレてしまい充電できていない、なんてことにはならないのはGood。
ただ、専用ケーブルでの充電なので外出先で電池が切れるようなことがあったら充電できませんし、充電ケーブルは単体で販売されているものも含め「USB Type-A」なので、ガジェット好きでUSB Type-Cばかりに揃えているとガッカリした気持ちになります。

マルチポイントにも対応、接続先を管理できるアプリが便利

OpenRun Proの売りのひとつに「専用アプリ」の存在があります。

フルワイヤレスイヤホンでもスマートフォンに専用アプリをインストールすることでバッテリー残量の確認やイコライザの設定など、本体操作だけでは変更できない様々な設定を変更できる製品が増えていますが、OpenRun Proも同じような設定を専用アプリから行えます。

専用アプリの機能の中でも、特に嬉しいのが「マルチポイントペアリング」。
2台のデバイスと同時に接続しOpenRun Proを利用できる機能で、初期状態ではオフになっています。

アプリでマルチポイントペアリングを有効にした後は1台目も再度ペアリングをし直す必要があったり、2台目以降もペアリング操作は必ず必要になりますが、1度でもペアリングした機器はアプリ内でリスト表示され、ここからトグルスイッチのオン・オフで接続先を変更できるのはかなり便利です。

肝心の使用感はどうなのか

クラウドファンディングでの先行販売からスタートし、製品提供による褒めちぎりレビュー記事が発売前後からネットに溢れかえったことで正当な評価があまり見えてこないOpenRun Proの、肝心の使用感についてだらだらと書いていきます。

骨伝導の割に音はいい

Shokzの製品の購入自体はOpenRun Proの発売前から検討していて、家電量販店店頭でもエントリーモデルのOpenMoveやAeropexなど、従来製品を何度か試したことがあります。

購入理由にも書いた通り音楽視聴ではなくビデオ会議など音声を快適に聴ければいいと割り切っていたので、視聴時に感じた「籠もった音」でも十分だと思っていましたが、OpenRun Proはちゃんと音楽を聴けるくらいには聴くことができます。

「従来モデルよりも特に低音が強化された」ようなレビュー記事を見かけますが、筆者の感想としては「AM/FMラジオからRadikoに変わった」くらいの変化はあると感じています。
従来モデルにあった籠もった鳴りの印象はなくなっています。

音はいいと言っても「骨伝導の割に音はいい」なので、最近のフルワイヤレスイヤホンなどカナル型イヤホンで聴くような音を期待してはいけません。iPhoneに付属していたイヤホンのようなスッカスカの音です。
「ながら聴き」なのでBGM程度に音楽を流していて不満が出なければいいくらいの鳴りだと思ってもらうといいかもしれません。

音漏れは結構する

骨伝導方式のヘッドセットはまるで音漏れをしないかのような評価を目にすることも多いのですがそんなことはありません。

耳穴を塞ぎませんし、音導管で耳穴に音を向けているわけでもないので外音がしっかり耳に入ってくるため、周りがガヤガヤしていると耳で聞こえる音の方が強くなります。
それに負けないようにとOpenRun Proのボリュームをあげていくとシャカシャカと音漏れします。

満員電車など人との距離が近い場面で使うと何を聴いているかハッキリわかってしまいますし、それが恥ずかしいというより音漏れの不快感を周りに与えると思うと公衆の場での利用はちょっと微妙です。

ShokzのサイトやOpenRun Proのパッケージの通り、屋外でのアクティビティなど一人のトレーニング時、周りの音を聴きつつ自分の聴きたい音楽がかき消されない程度にボリュームをあげるのであれば、周りにかける迷惑もありませんから音漏れを心配する必要もありません。

マルチポイントペアリングの動作が不安定

マルチポイントペアリング最高ッ!!!!と言いたいんですが、この動作が結構不安定です。

OpenRun Proの電源をオンにして1台目→2台目とペアリング済の聴きに繋がっていくんですが、2台目の接続中に電源が落ちてしまうことが多々あります。
試しにアプリから2台目以降のペアリング情報を削除し、1台としか繋がらないようにするとこの症状は発生しないため、マルチポイントペアリングに爆弾を抱えています。

また接続が問題なく行えてもアプリから接続先の切り替え画面に進むと切断されてしまうこともしばしば。
上でマルチポイントペアリングの設定画面のスクショを載せていますが、これを撮るまでに3回切断されています。4回目でやっとスクショが撮れた。75%の確立で設定に進もうとすると切断されるってどうなんでしょう。

不満はあれど「ながら聴き」の最良ではある

買ってみたけど使わないとか気に入らないデバイスってすぐに手放しちゃうじゃないですか。そういう意味では1年弱、手元に残して使っているOpenRun Proってかなり気に入っているデバイスで、褒めちぎるつもりで書き始めたレビューだったのにいつの間にか辛口になっていました。

「不満はあれど」と書きましたが、OpenRun Proに求めた「ながら聴き」以外の、他の製品と比べて優れているはずの部分に不満があるだけで、本来の購入理由を満たす意味では全く不満はありません。

OepnMoveなど従来モデルのレビューで見かけた「長時間の使用は側圧が気になる」に対しても、OepnRun Proは朝から晩まで身につけていても、レシーバーのふれるこめかみ部分に不快感を感じることもありません。

またジム通いを再開したのでトレーニング中にも利用していますが、防水・防塵は従来モデルのIP67からIP55に落ちたといえ、トレーニング後にサッと洗うくらいは問題ないのも使っていてストレスフリーです。

他のフルワイヤレスイヤホンなど「音楽を楽しむため」のデバイスの代わりとして選ぶのは間違っていますが、ながら聴きのためのデバイスとして選ぶなら最良です。
多分ここの割り切りができないとガッカリするはずですので、購入を検討している人はそのあたりも考え、ハマるようであれば是非手に取ってほしいと思います。