スマートフォンの充電器やモバイルバッテリーのメーカーとして知られるUGREENからNAS製品「NASync」シリーズが、満を持して日本国内にも投入されます。
2月14日から開始になったGREEN FUNDINGではすでに7億円を突破。4月7日まで実施されていますが、それまでに支援プランが完売する勢いです。
NASyncシリーズは2024年1月に、米バルセロナで開催されたCES 2024でお披露目になったときから気になっていて、個人的にもずっと気になっている製品です。今回、UGREENより「NASync DXP2800(以下、DXP2800)」の実機をお借りすることができたので、簡単にレビューをお送りします。まだ出資を悩んでいる人の参考になれば幸いです。
NASyncシリーズの基本仕様
まずは今回日本国内に投入されるNASyncシリーズの基本仕様からおさらいしていきます。
どのモデルもIntelの開発コードネーム「Alder Lake」で知られる「第12世代Coreプロセッサ」を搭載しています。
今回レビューをお送りするDXP2800には、ここ最近「安価ながら十分な性能を持っている」と高評価の「Intel N100」が搭載されており、この時点でコンシューマー・スモールビジネス向けのNASとして、高性能が約束されているといってもいいでしょう。
ラインナップはHDD搭載数の違いで3モデル。HDDの搭載数が増えるごとに基本性能がちょっとずつアップしていきます。
UGREEN NASync DXP2800 |
UGREEN NASync DXP4800 Plus |
UGREEN NASync DXP6800 Pro |
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最大ストレージ容量 | 最大64TB | 最大112TB | 最大160TB |
SATA Drive ベイ | 2ベイ | 4ベイ | 6ベイ |
M.2 SSD | 2ベイ | 2ベイ | 2ベイ |
プロセッサ |
intel N100 4コア/4スレッド 3.40GHz(ターボブースト利用時) |
intel 8505 5コア/6スレッド 4.40GHz(ターボブースト利用時) |
intel i5-1235U 10コア/12スレッド 4.40GHz(ターボブースト利用時) |
メモリ |
8GB DDR5メモリ 最大16GBまで拡張可能 |
8GB DDR5メモリ 最大64GBまで拡張可能 |
8GB DDR5メモリ 最大64GBまで拡張可能 |
ネットワーク | RJ-45 2.5GbE | RJ-45 2.5GbE+10GbE | RJ-45 デュアル 10GbE |
RAID | JBOD/Basic/0/1 | JBOD/Basic/0/1/5/6/10 | JBOD/Basic/0/1/5/6/10 |
SD | – | SD3.0 | SD4.0 |
HDMI | 4K 60Hz HDMI出力 | 4K 60Hz HDMI出力 | 8K 60Hz HDMI出力 |
サイズ |
L231*W109*H177mm 2.545kg |
L257.5*W178*H178mm 6.023KG |
L293*W258*H200mm 6.375kg |
NASync DXP2800を写真でチェック
続いてDXP2800の外観を写真でチェックしていきます。

ボディカラーはUGREEN製品でお馴染みのガンメタリック。筐体も金属製で質感も高く、また常時電源を入れたままで利用するNASの製品特性を考えると、放熱性にも寄与しそうです。
本体前面には電源ボタン以外に、本体の状態やHDDのアクセス状態を示すステータスランプがあります。
USBポートはUSB Type-CとUSB Standard-Aが1つずつ。ここにUSBフラッシュメモリやカメラを接続することで、写真や動画を取り込むことができます。

背面は大型の排気ファンがあり、金属筐体とあわせ熱の心配はなさそうです。
拡張ポートも充実しており、左からHDMIポート、USB Standard-Aポート×3(うち1つはUSB 3.1 Gen 1)、2.5GbEポート、リセットスイッチ、AC電源入力です。
HDMIポートについては別記事にて紹介しますが、DXP2800からテレビやPCモニターに映像出力を行うことができます。
USBポートは背面にも合計3つあり、特に高速なUSB 3.1 Gen 1に対応するポートには、外付けHDDを追加して、NASyncの容量を追加するような使い方が良さそうです。
残り2つのポートはUSB 2.0規格になるので、ここはネットワーク機能のないプリンターを接続して共有するような用途向けですね。
ネットワーク接続は2.5GbE、つまり最大2.5Gbpsに対応したLANポートです。4K動画など保存するデータのファイルサイズが大きいと、転送時間を短縮できるメリットがあります。

背面の排気ファンにはダストフィルターが取り付けられます。ダストフィルターはマグネットによる着脱式なので、汚れてきたから簡単に取り外し清掃可能です。
筆者宅にも何台かNASがあるのですが、どれも結構埃が溜まり、排気口が埃で埋まっていることが多々あります。定期的に掃除機で吸ってあげるなど掃除を行うようにはしていますが、分解清掃の手間がないという点は結構嬉しい仕組みではないでしょうか。

HDDベイはフロントに、HDD1台ずつの取付です。
HDDベイは専用の治具でロックすることもでき、不用意に取り外されてしまうことを防ぐこともできます。
NASの2ベイモデルは他社含めエントリー製品が多く、HDDの取付はNAS本体を分解して行う必要があるモデルも珍しくありません。DXP2800は分解の必要なくHDDの取付、取り外しができるため、メンテナンスしやすい点は大きなメリットです。


ちょっとおもしろいな~!と思ったのはHDDの取付方法。
他社でもネジ留め不要のツールレスになっているものは多いんですが、DXP2800のHDDトレイは伸縮式になっていて、ツールレスはツールレスでも取付用の部品を別途後からはめこんだりする手間がありません。

なので「トレイを開く」「HDDを載せる」「トレイを閉じる」で、もうHDDのトレイへの取付が完了します。
そしてこのまま、DXP2800に差しこめばHDDの取付は完了です。
ネジやドライバーを使う工程があるだけで初心者にはハードルが高く感じられてしまいがち。筆者のようにNASやサーバーなど、色々さわりなれた人種でもこの作りには感動させられました。

DXP2800はNASyncシリーズの中ではエントリーモデルですが、それでもM.2 NVMe SSDを2台搭載することが可能です。
SSDとHDDをどう組み合わせて使うかにもよりますが、SSDを搭載できる=ネットワーク越しとは思えないほど、高速にデータ転送ができるため、PC本体に置いておくには大きい動画などのデータを保存する先として、NASを使うのであれば嬉しい拡張性です。

また、HDDやSSD以外の部分での拡張性ですが、NASyncシリーズはどのモデルも「メインメモリの交換、増設」に対応しています。
DXP2800の場合、初期搭載されているメモリは8GB。メモリモジュールの規格はDDR5-4800のSODIMMなので、市販のノートPC用のメモリモジュールを搭載できます。
またスロット数は1つなので、容量を増やす場合、取り付けられている8GBのメモリを取り外し、16GB以上のメモリモジュールを取り付ける必要があります。
ただのデータ保存先として利用する場合には不要な拡張性ですが、別記事でご紹介するちょっとディープな機能を存分に使い倒す場合には、嬉しい拡張性です。
セットアップもスマートフォンから簡単に行える
さて、このあたりで本記事のタイトルを回収していきます。
NASの設定って正直面倒なんですよね。
例えばWi-Fiに対応したプリンターのセットアップとか、パソコンに詳しい人なら朝飯前かもしれませんが、そうでない人からすると「かなり簡単に行えるようになっている」と案内されても、いざやってみたらさっぱりわからん!なんてことは珍しくありません。
筆者とか、しょっちゅう家族や親戚に「簡単って言われて買ったのに繋がらない」と呼び出され、代わりに設定を丸投げされがちです。
が、本記事のタイトルに「スマホ世代に向けたNAS」と書いた通り、パソコンに詳しくない、なんなら自宅にパソコンがない、専らスマホで済ませてる、タブレットをパソコン代わりに使ってます!なんて人にもUGREENのNASyncシリーズはオススメです。だって設定、めっちゃ簡単なんだもの。


NASyncシリーズ向けに専用のスマートフォンアプリが用意されており、このアプリを使うとスマホの画面から簡単にNASの初期設定が行えます。
もちろん初期設定だけでなく様々な機能の設定、利用も可能です。
通常のNASだと「専用のURLがあるのでそれをブラウザで入力して……」とか「PCにソフトをインストールして……」と、パソコン苦手です!!って人には結構ハードル高めのことが要求されるんですよね。
が、NASyncシリーズであればスマホアプリからささっと設定できちゃいます。



初期設定後に必要な、HDDの初期化なんて作業もアプリから行えます。
これも結構親切に、どれを選んだらいいか解説が添えてあったりするので自分に合った設定を選びやすくなっています。
また、NASyncシリーズをスマホの写真のバックアップ先として利用したいと考えている場合、アプリから自動バックアップの設定を行うことができます。
これ、筆者自身の経験なんですが、10年以上前に子供が産まれたときにNASを導入して「ケータイで撮った写真を、NASに保存するようにすれば、誰が撮った写真でもすぐに見られる」としたんです。
ですがNASへの写真転送の方法が煩雑で、結局筆者以外誰も活用してくれなくて……。
DXP2800を含むNASyncシリーズであれば、家族で写真を共有するような使い方も簡単に設定して活用できるというわけです。
組立簡単、設定も簡単、マジで「詳しくない人向けNAS」の良製品
ざっとUGREENのNAS「NASync DXP2800」について、基本仕様や外観、設定方法などをご紹介しましたが、とにかく「初心者に優しい作り」になっていると感じました。
結構な頻度で「パソコンの容量が足りなくて~」「データを家族で共有できたら便利だと思うんだけど~」という相談を受けるので、そういう人にNASをオススメしたくても、組立や設定が面倒だし、そこまでサポートしたくないし……と「Googleフォトでいいんじゃない?」とか「Windowsなんだし、OneDrive使えば?」と逃げの姿勢をキメこんでいる筆者ですが、これなら周りに相談されたとき、オススメしてもいいかな!と思える完成度です。
最近のスマートフォンはmicroSDカードなどにも対応していない機種が多いですし、そうなるとデータのバックアップ先が結構悩ましかったりもします。
その点でもDXP2800を始めるとするNASyncシリーズは、本記事を「スマホ世代に向けたNAS」と題した通りで、消えてしまっても困る、消すには惜しい、そんな写真や動画をガンガン放り込んでいけるNASとして利便性が高いのでオススメです。
冒頭にも書いた通り、UGREENのNASyncシリーズはGREEN FUNDINGにて出資募集中。
通常販売時期は未定かつ、出資期間中であれば現時点で「25%オフ」で購入できるため、ちょっとでも気になった人はこの機会にぜひ。
▼ もう少し、機能に踏み込んだ話は以下の記事から