性能には文句なし、雑に使える小さいノートPC「CHUWI MiniBook X N100」を購入

PC

外出時、普段使いのノートPCよりラフに持ち出せるキーボード付きの端末が欲しくなり購入しました。

今回購入したのは中国・CHUWI(ツーウェイ)から発売されている「MiniBook X」です。
同社からは過去にも似たような製品が発売されていますが、2023年モデルでCPUが「意外とパワフルで結構使い物になる」と評判のIntel N100に改められ、先んじて購入した人からの評判も高く競合する製品でパッとするものもないのでこちらを購入しました。

なお2022年モデルではCPUに「Intel Celeron N5100」を搭載しています。製品名称も筐体も全く同じとなるため、本記事では2023年モデル(Intel N100搭載モデル)を区別するため、これ以降は「MiniBook X N100」と本機を呼んでいきたいと思います。
※Celeron N5100搭載の旧モデルもECサイト等で併売されているので購入時に注意が必要です。

MiniBook X N100の基本仕様

今回購入したMiniBook X N100の仕様は以下の通り。
なお日本から注文できるモデルは本体カラーとキーボードレイアウトの違いで3モデルが存在しますが、CPUやメモリ、ストレージ容量はすべて同じです。

OS Windows 11 Home
CPU Intel N100(4コア・4スレッド/最大 3.4GHz)
メモリ 12GB(LPDDR5)
SSD 512GB(M.2 PCIe-NVMe Gen4/TLC)
ディスプレイ 10.51インチ IPS・WUXGA液晶(1920×1200ピクセル・マルチタッチ対応)
Wi-Fi・Bluetooth Wi-Fi 6E・Bluetooth 5.2
WWAN 非搭載
キーボード バックライト付キーボード(US英語配列)
バッテリー 28.88Wh
本体サイズ 約 244×166.4×17.2mm
本体重量 約 920g
Alder Lake世代のEコアを採用したCPU「Intel N100」搭載が本機のポイント

搭載されているCPU「Intel N100」は第12世代のCore iシリーズの「高効率コア(Eコア)」だけをクアッドコアでパッケージ化したCPUです。
動作クロックも低く本来は軽作業などパフォーマンスを必要としない場面で省エネのために動作するCPUコアという位置付けですが、それでも第6~7世代のCore iシリーズと同等の性能があり、ブラウジングやオフィススイートの操作程度であれば十分にキビキビ動作します。

MiniBook X N100の外観を写真でチェック

CHUWIの製品を購入するのは初めてなので、パッケージからじっくりチェックしていきます。

茶箱ながらデザインには力が入っている
モデルを区別するためのステッカー。RAMやSSDのバリエーションにチェックが入っている。

パッケージはいわゆる茶箱。といっても無地の質素なものではなく、表面にはちゃんとロゴやキャッチコピー、そして製品名が印字された凝ったものです。
また製品を区別するためのラベルステッカーはカラーかつラミネートされたしっかりとしたものでした。MiniBook X N100の構成には存在しないRAM/SSDの容量も印字されていますが、多分他のモデルと共通化されているからでしょう。

小さくてもちゃんとクラムシェルノートPCスタイルのMiniBook X

続いてMiniBook X N100本体をチェックしていきます。

MiniBook X N100は10.51インチとノートPCとしては小型のディスプレイを搭載していますが、小さいだけで開いた状態のルックスはちゃんとノートPC然としています。
このサイズ感の製品だと最近はGPDやAYANEOなどゲーミング重視の製品が多く、キーボード側にジョイスティックなどが搭載されたものが多いんですが、MiniBook X N100は「ちゃんとノートPC」です。

閉じた状態からちゃんと開けやすいよう手前側には窪みがあったり、金属製のボディはエッジがキレイに立っていてビルドクオリティも高めです。全体的な筐体の質感はM2世代のMacBook Airのような感じといえばわかりやすいかも。

ディスプレイ解像度は1920×1200ピクセル、最近流行りのアスペクト比16:10です。
発色は多少寒色寄りですが一昔前の安価なPCにあったコントラスト比が極端に低いものではないので、動画鑑賞なども十分に行えます。
表示サイズはギリギリ等倍でも文字を読むのは苦になりませんが、主にテキスト入力やコンソール接続での作業を行うのであれば125%に設定すると更に使い勝手はよくなります。

天板は無地、フラット
底面は吸気口が大きく取られています。

天板は無地、フラット。CHUWIのロゴなどはありません。ステッカーチューンし放題。
底面は吸気口が大きく取られており、合計8本のビスで止められているだけなのでこれを外せば簡単に内部にアクセス可能です。
ゴム脚も大きく設置面積も広いのでツルツルとした机の上でも滑らず安定感があります。

右側面にUSB Type-Cポートが2つ、電源ボタンもあります。
左側面は3.5mmステレオイヤホンジャックと大きめの排気口のみ。

外部接続端子は右側面にUSB Type-Cが2つ、左側面に3.5mmステレオイヤホンジャックのみと最小限。
充電もUSB Type-Cポートを利用するため、ハブ・ドックなどを繋がない限り充電中に利用できるのはUSB Type-Cが1つのみとなる点は注意が必要です。
といっても、用途を考えたら色々繋いで使うようなPCでもないので実際そんなに困ることもないでしょう。

左側面に設けられた排気口は大きく動作中はしっかりと排熱しているのがわかります。
Intel N100はTDPも低くファンレスでの利用もいけるのですが、敢えてしっかりと冷却する仕組みを設けているので、熱を持ってもパフォーマンスが低下しづらくなっています。

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キーボードもこのサイズにしてはかなりしっかりとした作りです。
日本語配列も選べますが今回は英語配列を選択。というのも、日本語配列はこのキーボードのまま、各キーに日本語配列キーボードとして各キーが割り付けられるので変則的な配列になってしまうんですよね。
もちろん英語配列であっても、数字キーは特に「1~5」キーあたりを見ると通常よりも右に寄っていますし、キーボード右側のキーは幅が半分程度と小さいものもあるので、ブラインドタッチでタイピングしているとたまに違うキーを押下していることがあります。

キーピッチ、キーストロークは十分ですし、キーバックライトもあります。打鍵感も良好なので少しだけ詰まったキー配置にだけ慣れれば長い文章の入力でもそんなに苦になりません。(この記事の下書きもMiniBook X N100で行っています)

画面が360度回転するヨガ・テントスタイルにも対応

MiniBook X N100は画面が360度、背面方向に向かって回転する2 in 1機構もあります。
写真のように画面を背面に270度ほど回転させて自立するテントスタイルでの利用もできますし、360度回転しきればWindowsタブレットとしても利用できます。
なお、360度回転した状態ではキーボード操作はロックされるので、持っている手でキーに触れたことで想定外の文字入力が行われる心配はありません。

……と言っても、流石に900g超のタブレットを片手で持って、片手でタッチ操作して……は結構つらいので、おまけ機能くらいに思っておくとよさそうです。

ACアダプタはケーブル着脱不可
出力は最大36W

同梱されているACアダプタはケーブル一体型。出力は36W。
一体型ですが最近のGaN採用のUSB PD対応ACアダプタなどと比べて小さいということもなく、正直使い勝手はあまりよくありません。
CIOやAnkerなどから発売されている45W程度のACアダプタと別途用意し、こちらと一緒に持ち運ぶのがオススメです。

MiniBook X N100の「ココがダメ」

ビルドクオリティも高くキーボードも一部配列に無理はあるものの打鍵感も良好だったりと褒める部分の多いMiniBook X N100ですが、もちろん「ココがダメ」と辛口に言いたくなる部分もあります。

光沢タイプのディスプレイなので写り込みはかなり気になる

まずディスプレイ。これは好みの問題もありますが、MiniBook X N100のディスプレイは光沢仕上げです。光沢仕上げでもコーティング等で反射を抑える工夫を施している製品も多い中、かなりしっかり写り込みます。
自宅で使う分にはデスクライトの位置を調整するなどすれば気にならないのですが、用途は持ち運んだ先、つまり外出先での利用なので自分ではどうにもできませんので、写り込みが気になる人は反射防止保護フィルムを貼るといいでしょう。
筆者はミヤビックスのOverlay Plusを貼って使っています。

ノートPCスタイルでの使用が主なのに搭載ディスプレイはタブレット向けのポートレート液晶

また搭載されているディスプレイはタブレット用のポートレート液晶なので、UEFI画面やWindowsの回復メニューなどを表示すると90度回転した状態で表示されます。
これらの画面を見ることは稀ですが、この画面を見るとき=MiniBook X N100に何か不具合が起きているときなので、そこでスマートに操作しづらいのはちょっとイケてないです。

角が丸くなっているディスプレイはWindowsには不向き

ディスプレイに対してのダメだしが続きますが、MiniBook X N100のディスプレイは角が丸く取られています。WindowsのUIはこうした角丸を想定していないため、表示するアプリケーション次第ではウインドウ上部のボタンを中心に押しづらさを感じます。
また、CHUWI公式サイトの製品画像などと比べると、実機のディスプレイベゼルがかなり太いんですよね。ここももう少し頑張ってほしかったな~と感じます。

スペック表より実測が2g重たい

スペック表では約920gですが実測では922gあります。たったの2g重たいだけですし、スペック表でも「約」と書かれているので間違いではないんですけどね。
筆者の経験上、スペック表に記載される重量よりも実測は少し軽い製品の方が多かったので、実測でちょっと重たいのは少しだけガッカリしました。

また、13インチや14インチのモバイルノートでも1kgを切る製品が増えているため、それと比べるともう少し軽くても……みたいな気持ちも。
将来的に同性能で700g台とかのモデルが出てきてくれたらいいな~と、ないものねだりが捗る重量です。

MiniBook X N100の性能をチェック

Intel N100は結構速い!と評されていますが、実際どのくらいの性能を持っているか気になっている人は多いでしょう。
そこで定番のベンチマークソフトを実行し、性能を可視化しチェックしていきます。

なお比較用に筆者が普段使いしているノートPC「ThinkPad X13 Gen 2」で同一テストを実行した結果を載せています。ThinkPad X13 Gen 2に搭載されたCPUは第11世代Intel Coreプロセッサーの「Core i7-1165G7」で、メインメモリは16GBです。2024年現在、一般的なノートPCといえる性能・構成なので「適当なノートPCと比べてMiniBook X N100がどのくらいのパフォーマンスなのか」がわかりやすいのではないかなと思います。

CPUのロゴステッカーはすごく「インテル入ってる!」だけのシンプルなもの

CINEBENCH R23

まずは純粋なCPUの実力をチェックしていきます。
使用したのは3Dレンダリングを通じCPUパフォーマンスをチェックする「CINEBENCH R23」です。
10分間にどれだけレンダリング処理を実行できたかで、CPU毎の性能をスコア化するベンチマークソフトです。

MiniBook X N100搭載のIntel N100のシングルコア性能は、ThinkPad X13 Gen 2のIntel Core i7-1165G7と比較すると60%程度。マルチコアでは約半分という結果になりました。

数字だけでいえば確かに第6~7世代のCPUとIntel N100の性能は同程度と見ても良さそうです。
またマルチコアでの差ですが、これはIntel N100が4コア・4スレッドに対し、Intel Core i7-1165G7が4コア・8スレッドと論理コア(スレッド)数が倍であることや、キャッシュメモリ量の違いが影響したと考えると納得できます。

Blender Benchmark

続いてのテストも純粋なCPUの処理能力のテストです。
3DレンダリングでCPUの処理能力(演算能力)をテストできる「Blender Benchmark」を利用しました。

こちらの結果も先に実施したCINEBENCH R23の結果に近く、Intel N100はIntel Core i7-1165G7比較で5~6割程度のスコアとなり、世間で言われている「第6~7世代Coreシリーズ相当の性能」という評価は概ね正しいと言っていいでしょう。

PCMark 10

Intel N100のパフォーマンスがだいたいわかったところで、次は実際の利用シーンでのパフォーマンスをチェックしていきます。
最初に実行したのはPCMark 10。ウェブブラウジングやオフィススイート、ビデオ会議など一般的なPC利用を想定したテストを実施し、PC全体のパフォーマンスを評価するベンチマークソフトです。

こちらのベンチマーク結果もMiniBook X N100がThinkPad X13 Gen 2の6割程度となりました。
CPU以外のシステム全体でのパフォーマンス評価を行っているわけですが、例えば搭載しているSSDの読み書き速度などはMiniBook X N100でも十分に高速ですし、搭載されているメモリ容量も12GBと16GBで違いこそあれど「普段使いではその容量による差が出づらい」のもあってか、そのままCPUパフォーマンスの差が反映されたような結果になりました。

なお、実際に使ってみるとブラウジングやExcelの起動や操作にMiniBook X N100とThinkPad X13 Gen 2とで体感速度に大きな差は感じません。開いているタブの数が多くなったり、Excelで扱うデータ量が増えてくるとThinkPad X13 Gen 2の方が快適ですが「ちょろっと開いて」的な使い方であれば十分快適に動く性能があるといえるでしょう。

3DMark

次のテストはゲーミング性能です。先に断っておきますが、これはThinkPad X13 Gen 2でも厳しいテストなので結果については期待せずテストを実行しています。
使用したのは3DMarkで、いくつか内包されるテストからDirect X 12ベースのNight Raid、DirectX 11ベースのFire Strikeを実行しました。

テスト結果はMiniBook X N100が、ThinkPad X13 Gen 2の1/4程度とかなり厳しい結果に。
仕様面でもIntel N100の内蔵GPUがIntel UHD Graphicsで実行ユニット数が24個に対し、Intel Core i7-1165G7の内蔵GPUのIntel Xe Graphicsは実行ユニット数が96個と4倍です。この結果は「ユニット数の通り」ともいえます。

FF14ベンチマーク

結果はわかりきっていますが、それでも「より実際のゲームでのパフォーマンス」を確認したくなります。
そこで定番ベンチマークソフト「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(以下、FF14ベンチマーク)」も実行していました。

こちらの結果は3DMarkに比べれば頑張っていますが、それでもかなり厳しいものに。
FF14ベンチマークは今となってはゲームタイトルとしても古く、テスト内容含めPCゲームのテストとしては軽量なのでもうちょっと頑張るかな?と期待もしましたが、流石にIntel UHD Graphicsには厳しいようです。
同タイトル自体、最近はノートPCでも結構遊べるような評価がされていますが、少なくともMiniBook X N100をはじめ、Intel N100搭載のPCでゲームは遊べないと考えた方がいいですね。

CrystalDiskInfo・CrystalDiskMark

最後にMiniBook X N100に搭載されていたSSDもチェックしていきます。
こちらはCrystalDiskInfo、CrystalDiskMarkの2つのソフトを使い、SSDの仕様や性能を確認しました。

搭載されていたのは中華PCでよく見かけるAirDiskのSSD

MiniBook X N100に搭載されていたSSDは「AirDisk 512GB SSD」。詳細は不明ですが、中華PCではよく見かけるSSDです。
接続インターフェイスはPCI Express 3.0 x4。最近のノートPCなどはより高速なPCI Express 4.0や5.0に対応しているのでそれと比べると見劣りしますが、Intel N100の仕様上これ以上高速な接続規格はサポートしていませんし、Windowsの起動速度などがそれら後続の接続規格と比べて極端に遅くなるわけではないので十分でしょう。

テストデータは標準でのベンチマーク結果
テストデータをAll 0x00に変更した場合のベンチマーク結果

CrystalDiskMarkではプロファイルをNVMe SSDに、テストデータは標準とAll 0x00の2パターンで計測を行いました。
シーケンシャルリードで2500MB/秒、シーケンシャルライトで1800MB/秒と、PCI Express 3.0 x4接続のSSDとしては十分に高速です。
ただ、ランダム性能が奮わないため、ここは価格なりに安いSSDなんだろうという印象を受けました。

ラフに扱うには丁度よすぎる性能・仕様のMiniBook X

操作性など考えれば13~14インチのノートPCを持って出た方が絶対に快適なんですが、そのサイズを持って出るとなるとバックパックや大きめのショルダーバッグが必要になるので正直邪魔なんですよね。
冒頭にも書いた「外出時、普段使いのノートPCよりラフに持ち出せるキーボード付きの端末」として、MiniBook Xは6Lくらいの大きくないスリングバッグにも入るので、本当にラフに持ち出せる端末として丁度いいサイズです。

Intel N100の性能もベンチマーク結果の通り、少し前のノートPC程度の性能はあるので出先で急にPCを開いて行いたくなるようなことをこなすには十分すぎます。
これまでにiPad Pro + Magic KeyboardやSurface Goをこのポジションに据えて使えてきましたが、そのどれよりも重さも使い勝手も満たしてくれているので満足度はかなり高い1台です。

余談ですが、筆者がMiniBook X N100を購入した後に、同モデルをベースにストレージとメモリを増量した「TENKU MOBILE S10」が3月下旬に発売されました。
GPD WINシリーズなどの国内代理店である天空から発売されているので、保証などのサポートを重視したい人や、メモリはユーザー交換不可なのでどうしても16GBがいい!という人はTENKU MOBILE S10を検討してもいいでしょう。

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