ThinkPad X13 Gen2のマシンパワーを各種ベンチでチェック

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先月末に到着したThinkPad X13 Gen2のベンチマークを色々取ってみました。

ThinkPad X13 Gen2を始め、2021年モデルのThinkPadに搭載された「第11世代 Intel Core」のCPUですが、これは今までのThinkPadユーザーであれば「やっと搭載された」と言うべき、新しい世代のCPUです。

ノートPC向けの第10世代のCPUは大きく分け2つあり、2020年モデルのThinkPadに搭載されていた第10世代CPUは「第6世代のCPUを元に拡張していったもの」でした。
そのため対応するメモリーの速度は2020年モデルのPCとしては遅かったり、内蔵されるグラフィック機能も前時代のスペックに留まるなど、買い替えを考えていた1ユーザーからすると「買いじゃない」と思ってしまう仕様に留まっていました。

今回、ThinkPad X13 Gen2を始めとする2021年モデルに搭載されているCPUは「メモリーも高速、内蔵グラフィックも強化」と2020年モデルでThinkPadが見送った真の第10世代CPUをベースに、より動作クロックを向上させ内蔵グラフィックも強化されています。

製造元のIntelや第11世代 Intel Coreを採用した製品を送り出す各メーカーからも「今までとは違う」と太鼓判を押されている最新CPUの実力はかなり気になるところでしょう。
これから2021年モデルのThinkPadを購入する人はもちろん、他社でも第11世代 Intel Coreを採用したPCを選ぶ人の参考になればと、今回は色々なベンチマークソフトを用いその性能を確認しました。

ThinkPad X13 Gen2の構成

今回ベンチマークを行ったThinkPad X13 Gen2の構成は以下の通り。

OS Windows 10 Pro (20H2)
CPU Intel Core i7-1165G7(2.8GHz/4コア・8スレッド)
メモリ 16GB(LPDDR4X-4266MHz/オンボード)
ストレージ Samsung 980 PRO 500GB
グラフィックチップ CPU内蔵(Intel Iris Xe Graphics)
ディスプレイ 13.3インチ WQXGA IPS液晶
ワイヤレスLAN Intel Wi-Fi 6E AX210(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax)
Bluetooth Bluetooth 5.2
ワイヤレスWAN 5G対応モデム搭載
生体認証 指紋認証・顔認証(IRカメラ)
バッテリー 3セル 41Wh・最長17.8時間稼動(JEITA2.0計測時)
本体サイズ 約 305.8×217.06×18.19mm
重量 約1.21kg

第11世代 Intel Coreを搭載するノートPCとしては平均か、少し上くらいの構成です。
先にも書いたように「第11世代 Intel Coreを搭載する他社ノートPC」でもだいたい同じような構成で販売されていますので、それらの購入を検討している場合にもこの先に掲載するベンチマークスコアはある程度参考になるはずです。

ThinkPad X13 Gen2のベンチマーク結果

前置きが長くなりましたが、ThinkPad X13 Gen2のベンチマークスコアは以下の通り。
参考までに「ThinkPad X1 Carbon Gen8(2020年モデル/第10世代 Core i5)」と「MacBook Air(2020年モデル/M1搭載)」でも過去に計測したベンチ結果が一部残っていたので、それも表中に記載しておきます。

Cinebench R23

ThinkPad X13 Gen2 ThinkPad X1
Carbon Gen8
MacBook Air M1
マルチコア 5490 3052 6644
シングルコア 1474 952 1429

まずは定番、CPUの純粋な計算能力を確認できるCinebench R23のスコアから。

現状ノートPC向けとして最速とも評されるMacBook Airに搭載されているM1とシングルコアのスコアではいい勝負です。マルチコアでは少々差が出てしまいますが、これは物理コア数の違いがそのままスコアに出たと評価してもいいかも。(ThinkPad X13 Gen2は4コア/8スレッドに対し、MacBook AirのM1は8コア/8スレッドなので)

そして第10世代のCPUを搭載するThinkPad X1 Carbon Gen8との差ですが、マルチコアで2倍弱、シングルコアでは3割増しくらいの差が出ています。

Geekbench 5

ThinkPad X13 Gen2 ThinkPad X1 Carbon Gen8 MacBook Air M1
マルチコア 5674 2984 7701
シングルコア 1522 951 1735

続いてスマートフォンでもお馴染みのGeekbench 5。
こちらもCPUの純粋な処理能力の測定が行えるベンチマークソフトウェアです。

結果に関してはCinebench R23と大きくは変わらず。最速と評されるM1に対してThinkPad X13 Gen2の第11世代 Intel Coreが食らいついていくような結果になっています。
そして第10世代 Intel Coreからは大きくスコアを伸ばしているため、少なくともIntel CPUを搭載した従来ノートPCからの買い替え先としては「大いにアリ」ということが見て取れます。

PCMark 10

ThinkPad X13 Gen2 ThinkPad X1 Carbon Gen8
PCMark 10 5108 4024
PCMark 10 Essentials 9656 8972
PCMark 10 Productivity 7146 6548
PCMark 10 Digital Content Creation 5244 3096

続いて実利用時のパフォーマンスを測定する「PCMark 10」でのスコア。
ここからはMac/macOSが非対応なのでThinkPad同士での比較です。

CPUでのスコア差の通りで、実利用時のパフォーマンス(厳密に言えばレスポンス)は第11世代 Intel Coreが各カテゴリーで第10世代 Intel Coreと比較してスコアを伸ばしています。
Digital Content Creationのスコアが倍近くまで伸びているのは、内蔵グラフィック機能の性能がグンと向上していることの影響でしょう。

3DMark 10

ThinkPad X13 Gen2 ThinkPad X1 Carbon Gen8
3DMark 10 Time Spy 1707
3DMark 10 Night Raid 15649 5783

グラフィック性能をガツンとテストする3DMark 10の計測結果。
「Time Spy」はガチめのゲーミングPC、それこそ別途グラフィックボードを搭載したデスクトップPCをターゲットにしたベンチマークなので、半年~1年ほど前にThinkPad X1 Carbon Gen8で計測した際には期待していない・ベンチ完走できる気がしないので計測していません。
ThinkPad X13 Gen2での計測結果について、いくら内蔵グラフィック性能が向上したと言ってもゲーミングPCの代用にはなりませんよ、といったスコアです。

「Night Raid」はノートPCでも十分に楽しめるゲームを対象としたベンチマーク。
これは第11世代と第10世代とで、約3倍のスコアになっているなど内蔵グラフィックの性能向上の恩恵をハッキリと見せつけてくれる結果です。

流石にフレームレートがモノを言うような本格的なFPSなどを遊ぶにはまだ物足りない性能ですが、これまで「ノートPCでゲームは諦めろ」という前提からすれば、大きく進化していることを確認できます。

FINALFANTASY XIV 漆黒の反逆者

ThinkPad X13 Gen2 ThinkPad X1 Carbon Gen8
最高品質 3998(快適)
高品質(ノートPC) 5308(とても快適) 1731(設定変更を推奨)

3D性能=ゲームの快適さなので、国産MMORPGから定番のFINALFANTASY XIVでもベンチマークを実施。

グラフィックボードが載ったゲーミングPCなどをターゲットにした最高品質に設定した場合でもThinkPad X13 Gen2の第11世代 Intel Coreでは「快適」と評される結果になりました。
冒頭や他のベンチマークでも少し触れた通り、またThinkPad X13 Gen2のパームレストに貼られたエンブレムシールの通り、第11世代 Intel Coreに内蔵グラフィックは従来から大幅に性能が向上した「Intel Xe」に改められており、その効果が大きいということでしょう。

従来、ノートPC向けのゲーミング品質を図る「高品質(ノートPC)」での評価も「とても快適」と、GeForceやRADEONを別途搭載しないノートPCとしては今までにないほどに高性能になっているとも言えます。

CrystalMark 8.0.1

前回、ThinkPad X13 Gen2のSSD交換手順で紹介したSSDのベンチマーク結果を再掲しておきます。

ThinkPadのSSDは比較的交換が容易なので「SSDの読み書き速度」は後から高速なSSDに交換することである程度改善が可能です。そのため、SSD速度については「なぜ速いのか」を少しだけ踏み込んで解説しておきます。

Model バス規格 リンクレーン数 最高転送速度
ThinkPad X13 Gen2 PCI-Express 4.0 x4 8000MB/s
ThinkPad X1 Carbon Gen5 PCI-Express 3.0 x4 4000MB/s

上の表の通り、ThinkPad X13 Gen2のSSDはバス規格として「PCI-Express 4.0」に対応しています。
また現在主流のSSDは「NVMe」という規格で、リンクレーン数は「4本」で接続されています。

従来のノートPCでは「PCI-Express 3.0」に「NVMe規格のSSD」を取り付けると「リンクレーン数4本」で接続された場合の最高転送速度が4000MB/sが上限になるところ、ThinkPad X13 Gen2では「8000MB/s」と高速化されているのです。

すでに市場には4000MB/sを超える読み書き速度を誇るSSDが流通しているため、高速なSSDをThinkPad X13 Gen2に搭載した場合はその性能をフルに発揮できるわけです。

今回筆者がThinkPad X13 Gen2の換装用に用意・取り付けたSSDはSamsung 980 PROという製品で、上のベンチマーク結果の通り従来モデルの4000MB/sを超える読み書き速度に対応したSSDです。
ThinkPad X13 Gen2を始め、2021年モデルのThinkPadや第11世代 Intel Coreを搭載したノートPCであれば、対応したSSDを用意することで「従来モデルの最大で2倍の速度」でデータの読み書きが可能になります。

つまり、パソコンの起動や重たいアプリケーションの起動を速くすることが可能ということです。


ThinkPad X13 Gen2の購入に際し「今までよりもだいぶ快適になるだろう」と見込んでの購入を行っていますし、実際に使い始めて1週間が経過し、何をするにも今まで使ってきたThinkPad X1 Carbon Gen5と比べアプリケーションの起動など待たされる場面も減り、性能の向上を実利用で感じています。

当たり前といえば当たり前ですが、CPUが第7世代から第11世代に、CPUコア数も2コアから4コアに、SSDの速度も2倍速くともなればそりゃ速くなるわけです。

その速さを裏付けるべくベンチマークで各種スコアをチェックした結果として「やっぱ速い」ですし、Intelや各メーカーから今までと違うと太鼓判を押して世に送り出された製品としては「その通りだ」といえるだけの性能向上が今回は図られています。

「ゲーミングには向かない」といった評価もできますが、ThinkPad X13 Gen2自体はモバイルノートPCですし製品の毛色としてもビジネスシーンで活躍することが第一なので、その使い方をする限りでは十分であり、十分過ぎて余したパワーの分は今までよりもクリエイティブな方向にも挑戦できるパワーのあるマシンになったと言えるでしょう。

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ThinkPad X13 Gen 2 | コンパクトな薄型軽量モバイルPC | レノボジャパン