初めて自分で買ったノートPC「VAIO type Y」- 思い出のガジェット Advent Calendar 2019

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思い出のガジェット Advent Calendar 2019」の参加記事として、前回は思い出のフィーチャーフォンを、前々回は思い出のスマートフォンを書きましたので、今回はノートPCをご紹介。

今回思い出に浸るのは2005年発売のソニー製ノートPC「VAIO type Y(VGN-Y70P)」です。

このVAIO type Yですが、筆者が初めて自分のお金で買ったノートPCです。
製品自体をじっくり見ていくのは後にして、先に思い出話を。

購入当時の筆者はまだ高校生。
すでにケータイは頻繁に新機種に買い換え、サブにはAH-K3001VとPDA(リナザウ)を持ち歩くモバイラーでした。
ノートPCは叔父からのお下がりを使っていましたが、バッテリーもへたりきっていましたし、Windows 98SE世代のマシンにWindows 2000を入れての利用でXPを入れる与力のないマシンだったこともあり、なんとかバイト代でノートPCを買うのが目標でした。

今でこそ薄型のモバイルノートが10万円弱から選べる時代ですが、当時は20万から30万は予算を工面しないと満足のいく一台が購入できない時代。
詳しくは後述しますが、Centrinoロゴが入っている最新のモバイルノートが欲しいとかなり必死になってアルバイトに励む日々で、やっとのことで手に入れたのがこのVAIO type Yでした。

VAIO type Y VGN-Y70P

ソニー製のVAIOとしては「第2世代」とも「セカンドシーズン」とも呼ばれているシリーズ群に属するVAIO type Y。
「Do VAIO」をコンセプトに、それまでバイオレットシルバーや、現在のVAIO社のコーポレートカラーにもなっている「勝色」など、パープル系のカラーリングからブラックやホワイトを基調とした筐体デザインに切り替わった後の1台です。

余談ですが、型番が「PCG」で始まるのが第一世代VAIO。「VGN」や「VGC」が第二世代。「VPC」で始まるのが第三世代です。
各世代の終了間際に発売になったモデルはマイナーチェンジ等でそのままの型番で販売されたこともありますが、概ねこういう見分け方もできます。

さらに雑に言うと、第二世代VAIOのモバイルノートは「Pentium M」を搭載したモデル以降とも言えます。
そんな第二世代VAIOの初期モデルに属するVAIO type Yのスペックは以下の通り。

VAIO type Y VGN-Y70P
販売価格 17万円前後
発売日 2005年1月22日
OS Windows XP Professional
CPU Intel Pentium M 725(1.60GHz/第二世代 Dothan)
メモリ 256MB(最大2GB/スロット×2)
ストレージ 2.5インチHDD 60GB
ディスプレイ 12.1インチ(1024×768px)
無線LAN IEEE802.11b/g
Bluetooth 非搭載
重量 約1.69kg
本体サイズ 285.7×247.8×24.9(最厚部35.8)mm
バッテリー稼働時間 最大5時間
インターフェイス USB Type-A(USB 2.0)×1
IEEE 1394(4ピン)×1
Type2 PCカードスロット×1
Ethernet(RJ-45)×1
アナログ電話端子(RJ-11)×1
3.5mmヘッドフォンジャック

スペック表の通り、ディスプレイはアスペクト比は4:3の12.1型。
同じVAIOであればtype Sなど、ワイド液晶を搭載したモデルも出始めた時期ですが市場の多くはまだまだ4:3のディスプレイを搭載したPCの方が多かった時代です。
そもそもVAIO type Yは「ビジネス向け」を謳う製品だったので、アプリケーションの対応状況などを考えるとワイドディスプレイの搭載は見送るしかなかったとも言えます。

パームレストに輝くIntel Centrino。
当時のモバイルノートを選ぶ際、このロゴがあるかないかはひとつの選択基準でした。
CentrinoとはIntel Pentium MとIntel製のWi-Fiモジュールを搭載した場合の通称みたいなもんですね。

カードスロットはSDカードではなくソニー製品らしくメモリースティックなのも時代を感じます。

インターフェイスで注目したいのは、電話回線のモジュラージャックの存在。
あまり現実的ではなく筆者は使ったことがありませんでしたが、外出先で公衆電話に接続してネットを利用するといった使い方ができました。
自宅環境でADSLやFTTHの導入が難しい場合、低速ながら常時接続が行える選択肢としてフレッツISDNを利用する場合にもモジュラージャックが活躍しました。

外部ディスプレイへの接続はD-Sub15pinのみ。
HDMIやDisplayPortはありません。まだ自作PCなどパソコン周辺機器で外部ディスプレイへの接続はD-Sub15pinか、リッチな環境でDVI端子から選ぶような時代でした。

反対側のインターフェイスにも時代を感じます。
イヤホン・マイクの隣にあるのはIEEE 1394。Mac向けだとFirewireと呼ばれていたやつですね。
USB 2.0登場以前はUSBより転送速度に分があり、ビデオカメラやiPodの接続はIEEE 1394を利用するのが一般的でした。

さらに右隣に位置するのはType2 PCカードスロット。
ここにPHSデータ通信カードなどを取り付け外出先でネットを利用するのが当時のモバイラースタイル。
僕はデータ通信カードを取り付けないときは、SDカードリーダーを取り付けて利用していました。当時使っていたデジカメはCyber-ShotではなくIXY DIGITALだったので。

最後に、現在愛用中のモバイルノート・ThinkPad X1 Carbon(5thGen/2017)との比較を。
厚みは大体半分か、それ以下に。重量はペットボトル1本分軽くなりました。バッテリー稼働時間も同じ操作をすれば2倍くらいは動くはず。


ぶっちゃけ、最初はVAIO type Yは購入候補外でした。
MDウォークマンがメーカー保証を過ぎて数日後に壊れ、都市伝説として語られてきたソニータイマーに怒りを覚え金輪際プレステ以外のソニー製品は買わないと心に誓っていたのが当時の筆者です。

候補に挙げていたのはLet’s Note R3やdynabook SS SX。少し重量はあるものの、光学ドライブまで搭載したLaVie RXあたりも検討していました。
結局VAIO type Yを選んだのは価格。不人気モデルだったので、発売から半年ほど経過した2005年夏時点では旧モデルで安価に売られていたから。
高校生のバイト代で3~5万の差は大きく、1~2ヶ月バイトを頑張らなければその予算は確保できません。
また、それだけの期間バイトを行うと、そのときの表示売価を払えるだけの予算は確保できても、次モデルが店頭に並ぶ時期になってしまい、同じ価格で次モデルを買えるのはさらに数ヶ月先になってしまいます。

具体的なモデルは考えず、Pentium MやCentrino、本体サイズや重量などなど、スペックだけを条件に選択肢を広げた中で値下げされ販売されていたVAIO type Yを選びました。
購入から間もなくして、経産省主催(当時)のセキュリティキャンプ2005に参加することが決まり自分のノートPCを持って行けることはとても嬉しかったですし、翌年に参加したInterop 2006のShownet Team Memberでも10泊11日の過酷な作業で活躍する愛機になりました。

メモリーカードスロットがメモリースティック(Duo)だった事もあり、Type2 PCカードスロットにSDカードリーダーとPHSデータ通信カードを排他利用で付け外しするのが面倒になり、コンデジをCyber-Shotに買い換え、いつの間にかソニー製品に囲まれた生活を送るようになったスタート地点でもありました。
メモリーは交換・増設できるので1GB×2で最大の2GBまで増設しましたし、CPUも交換できたのでより高クロックのものにも取り替えました。メインのノートPCの座を退いた後も、まだなんとかすれば使えるのではと、当時は高価だったSSDに載せ替えてWindows 7を入れてみたりと、なんだかんだ愛着を持ってずっと手元に残しています。

色々書きながら、すっかり忘れていた色々なことを思い出したりもしましたが、これ以上は長くなるので一旦ここで終わりますが、前回・前々回の思い出のガジェットについての話共々、僕は本当にガジェットが、特にデジタルガジェットが好きなんだなと思い返すいいキッカケになりました。