ガジェットの多くを買う際の「欲しい」と同じくらい「必要かどうか」を考えてから買うことの方が多い気がします。
口では「気付いていたら買っていた」と言っていても、実際には手元の他のものと比較して本当に必要性を感じるかどうかを冷静にジャッジして購入するようにしています。
が、数年に一度そうでない「欲しくて堪らないから買ってしまった」ガジェットが存在しているのも事実。
今回はそんな欲しくて堪らないので買ってしまったケータイの話をします。
X-RAY TSX06
au(KDDI・沖縄セルラー電話)から2010年11月に発売された3G フィーチャーフォン「X-RAY」。
当時のメインケータイはNTTドコモの契約、かつ発表の数日前に機種変更したばかりでしたが、欲しい気持ちの大きさのあまりすぐに予約、そして発売と同時にMNPしてまで購入したケータイです。
欲しい理由なんてものはとてもシンプル。カッコイイから。
スケルトンボディで中身が見えるのは世の男子諸君であれば絶対に惹かれないはずはありません。
au向けフィーチャーフォンの統一プラットフォーム「KCP」も、特に悪評の目立ったKCP+から改善され、SoCの要件としてQualcomm Snapdragon S1を必要とするKCP3.0、それも下り9.2Mbpsの高速通信サービス「WIN HIGH SPEED」対応のKCP3.1を搭載したことで、キビキビと動作する点も購入に至った理由として挙げられます。
「カッコイイ」も大事でしたが、雑に言えば「カッコよくて高性能」だったのがX-RAYです。買わない理由は見つからず、欲しいという気持ちで買ってしまった、そんな思い出の一台です。
Fx0 LGL25
X-RAY繋がりでこちらも。
同じくauから2014年末に発売されたFx0。国内で唯一、キャリアから発売されたOSにFirefox OSを搭載するスマートフォンです。
デザインはX-RAYと同じ吉岡徳仁氏。
X-RAYと比較すると中身の透け具合は劣るものの「コスト40倍」と採算度外視で専用に作られたネジや、内部に見えるフレキケーブルの配置、アンテナも一部はデザインのためにダミーアンテナを見える位置に配置するといったこだわりは、Firefox OSがまともに使えないものであっても「欲しい」となってしまうガジェットだったことは間違いないでしょう。
auから発売、スケルトンボディ、吉岡徳仁氏がデザイン担当。それ以外にもこの2機種には共通したものがあります。
どちらも短命でした。
X-RAYが発売になったタイミングはauが散々「未来へ行くなら、アンドロイドを待て。」と、IS03やスマートフォンを続々と投入してきたタイミング。
NTTドコモからは同時期にGalaxy S SC-02B、SoftBankからはiPhone 4が登場し、Twitterなどスマートフォンとの親和性の高いサービスが注目を集め始めたタイミングでした。
スマートフォンが黎明期から普及期にさしかかる頃で、この翌年から携帯電話各社の最新機種ラインナップからフィーチャーフォンの割合が減り始めた時期と重なります。
また、Fx0が出てきたタイミングもiPhone 5sの投げ売りより後、iPhone 6が登場したタイミング。
Androidも長らくベストセラーだったXperia Z3シリーズなど名機と呼ばれる機種が市場を席巻していたタイミングと重なり、すでにモバイルOSの覇権争いにFirefox OSの出番はなかった時期でした。
さらにFx0の発売から約1年後の2016年初頭には、MozillaがFirefox OSのスマートフォン向けサポートを終了させる死刑宣告までされたという、本当に不遇の一台でした。
現在のスマートフォンの形状ではどうやってもデザインの差別化が難しいことはわかっています。
フィーチャーフォンと違いOSバージョンアップやアプリケーションのバージョンアップを伴う以上、ハードウェアのデザインもテンプレートに当て込んでプロダクトをデザインしないと一定期間安心して利用できるものを提供できないのも仕方ないでしょう。
しかし、それをわかっていても「デザインに惚れて買う」という選択肢が全くないような現在の携帯電話は没個性すぎて、選ぶ楽しみが随分薄れてしまったようにも思えて仕方がありません。
「フォルダブル」が流行るかはわかりませんが、可動部を有するデザインなど改めてギミックに注目が集まった2019年。
2020年は国内でも5Gの商用サービスが始まるなど、携帯電話は次の世代へステップアップします。ギミックに続き改めて独創性のあるデザインのあるものが、市場に投入されることを切に願う毎日です。
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本記事は「思い出のガジェット Advent Calendar 2019」の21日目の記事。
明日も筆者が担当しますので、どんな思い出ガジェットが出てくるかご期待頂ければと。