2025年、個人的に一番大きなトピックスは「自宅ネット回線として10Gbpsを引き込んだ」こと。
なので10Gbpsの回線を思う存分使い倒せるルーターが2025年のベストバイです。
選んだのはUbiquitiの「Dream Machine Pro」。
いわゆる「19インチラックサイズ」のネットワーク機器なので、個人宅向けではなく業務向けですね。一応1,000台以上のクライアントをサポートすると謳っているので、大企業は無理でも大きめの中小企業ならこれ1台で賄えるくらいパワフルな製品です。
別に市場には10Gbpsに対応する製品が多く存在する中、わざわざ個人宅向けでない製品を選んだのかをつらつらと書いていきます。
なお、本記事は質(@_0_zero)さん主催の「今年のベストバイガジェット Advent Calendar 2025」の24日目の記事です。
他の人の記事も「そういう目線でベストバイだったのか!」という発見がありおもしろいので、ぜひぜひ読んでみてください。
WANは10Gbps対応でも、LANは10Gbps非対応
我が家に引き込んだ10Gbps回線はNTT東日本のフレッツ光クロスです。
ドコモ光 10ギガプランとして、プロバイダはOCNの組み合わせで「キャッシュバックが55,000円と大きかった」「工事費が実質無料になるキャンペーンもあった」「最大半年間、月々500円で利用できるキャンペーンもやっていた」ので、えいや!で申し込み、今年の5月に開通しました。
契約内容にもよりますが、基本的に10Gbpsの契約は「契約者自身で対応するルーターを購入してください」となっています。
この「対応するルーター」というのが曲者です。
まず、フレッツ光クロスでは従来のフレッツ光と違い「PPPoEでのインターネット接続」が一部プロバイダを除き提供されていません。
多くのプロバイダは「IPoE方式かつIPIPでのインターネット接続」となり、その中でも「IPIP」がとくに曲者で、契約するプロバイダにより方式が異なります。
なので「10Gbpsに対応!フレッツ光クロスOK!」を謳っていても、契約するプロバイダによっては利用できない可能性があるのです。
今回契約したOCNは「MAP-E方式(OCNバーチャルコネクト)」となり、最近でこそ対応するルーターは増えてきましたが、選択肢が潤沢とはいえません。
そして10Gbps対応を謳っていても、10Gbpsは「WAN側のみ」というルーターも多いんですよね。
だいたいの人はWi-FiでPCやスマートフォンを接続するでしょうし、そのWi-Fiも最新規格の「Wi-Fi 7」では1Gbps以上の理論値なので「ルーターがネットに10Gbpsでつながっていれば、ワイヤレスで繋ぐほとんどの機器は10Gbpsの恩恵が受けられる」という考えなんだと思いますが
・重たいデータの読み書きが発生するNASがLAN内にある
・なのでPCとNASとの間は10Gbpsで接続したい
のようなニーズがある我が家の場合、LAN側も10Gbpsで色々な機器を接続できる方が望ましいのです。
もちろん、WAN(インターネット)は1Gbpsでも、LAN内は10Gbpsでそれぞれの機器がつながるように構成もできますし、実際10Gbps回線を引き込むまではこのネットワーク構成で使っていました。
でも、せっかく10Gbps回線引いたなら、有線無線関係なくみんな10Gbpsでお外(インターネット)に出たいじゃん?
10GbpsのLAN(端子)は発熱がすごい
ちょっとネットワークだったりPCに詳しい人なら知っている、聞いたことがある人は多いと思うんですけど、従来のLAN(端子)で10Gbpsで通信させるとめちゃめちゃ発熱します。
端子部分もかなり熱くなりますし、それらを収容するルーター・ハブも熱を持ちます。
ルーター・ハブが熱を持つと今度は熱による性能低下→通信速度の低下が起きたり、最悪の場合は機器の故障につながります。
そうならないために冷却ファンなどを載せているルーター・ハブも存在しますが、小型のルーターの筐体で十分な冷却性能を発揮できるようなファンとなれば「小径・高回転」となるので動作音が気になります。

そこで出てくるのが「光ファイバーケーブル」です。
伝送距離・速度などでいくつか規格が存在しますが、一般的なのは「OM3ケーブル」です。端子形状も種類があるんですが、これは「SR」というのが一般的かなと。

光ファイバーケーブルであれば通信は電気信号ではなく光信号になるので、LAN端子・ケーブルを使うのに比べれば発熱を抑えることができます。
ただ、光ファイバーケーブルを挿せるルーターってご家庭向け製品にはほとんどないんですよね。
なので行きついた先としては「業務向け製品」というわけです。
Dream Machine Pro
はい、やっと本題です。
今年のベストバイガジェットに挙げた「Dream Machin Pro」の紹介パートです。

Dream Machin Proはいわゆる「1Uサイズ」のネットワークスイッチです。
一般のご家庭に置くようなものではないですね。データセンターとかサーバーラック(19インチラック)にマウント・設置するような機材です。
ボディカラーはメタリックなシルバー。Ubiquiti製品といえば「Dream Router」や「U6」「U7」といったアクセスポイントの白い筐体のイメージがありますが、1U以上のラックマウント製品はシルバーの筐体です。

背面はAC電源ケーブル(右側)の取り付け口と、別売のUPS(バックアップ電源)の取り付け口(左側)のみ。
付属の電源ケーブルはアース付きの3ピンタイプなので、対応する電源タップを用意するか、2ピンタイプの電源ケーブルを別途用意しそれに付け替えて使いましょう。

ネットワークポートは10Gbpsに対応するSFP+ポートが2つ、1GbpsのLAN(RJ45)端子が9つ。
どちらのポートにも1ポートずつ「WANはこちら」とシルクプリントされていますが、設定から各ポートの役割は変更できます。
筆者宅ではとりあえず現在はプリントの通り、10番ポートにフレッツ光クロス回線(10Gbps)を、9番ポートにはフレッツ光ネクスト(1Gbps)を接続し、10Gbpsを主回線、1Gbpsをバックアップとして利用するよう設定しています。
10Gbpsに対応するSFP+ポートが2つしかないので、Dream Machine Proだけで宅内のオール10Gbps対応!はちょっと厳しい。
現在はAliexpressで買ったONTiのONT-S508CL-8Sを11番ポートと接続し、そこからPCやNASを宅内10Gbps環境に参加させるような構成をとっています。
先日別記事で書いていますが、2026年はONTiのONT-S508CL-8Sなどを排し、Ubiquitiの機器をDream Machine Proの下流に諸々導入していきたい。

全面にはタッチ操作にも対応したディスプレイがあります。ここはネットワーク状態や接続台数などを表示できます。

例えばこれはネットワークスループットの表示。
こんな風にリアルタイムで現在の状態を表示してくれるのはたいへんガジェット感があり楽しい。
……実際はほとんど使いませんけどね。

管理画面はこんな感じ。
まだUbiquitiの製品がDream Machine Proしかないのでちょっと寂しい感じですが、同一ネットワークセグメントやサイト内のUbiquiti製品を一括で管理もできるので、今後色々必要に応じ買い足していく予定がある人にはすごく便利な作りになっています。
というか、それも割と決め手になってDream Machine Proを選んでいます。

ちょっと見づらいんですけど、右ペインがプロバイダ接続設定です。
接続先「IPv4 Over IPv6」→タイプ「MAP-E」→サービス「OCN Vertual Connect」
と、OCNバーチャルコネクトにも対応していることがわかります。
以前は接続先の設定にOCNバーチャルコネクトは表示されず、気合と根性でコンフィグを書いて流し込むと繋がったりしたようですが、最新のUnifi OS・Unifi NetworkではGUIでサクッと設定すれば繋がるようになっています。
ちなみに購入時期やロットにもよると思いますが、筆者が購入したDream Machine Proはソフトウェアバージョンが古く、ソフトウェアアップデートを実施する必要がありました。

最低限、色々設定した後に管理画面のダッシュボード機能に備わっている速度テストをした結果がコレ。
下りで5Gbps、上りで3Gbpsと今までよりはだいぶ速い速度です。(1Gbps環境下だと、だいたい下り600Mbps・上り200Mbpsくらい)
本当はいつも通り、Speedtest.net – IPA CyberLab 400Gで速度テストした結果を載せたいんですが、クライアントPC側で10Gbps対応したマシンがまだDream Machine Proの配下に移せていないので。
10Gbps回線を契約したら、ぜひキャッシュバック等で検討してほしい
どっからどう見ても「逸般の誤家庭」になってしまうネットワークスイッチですが、10Gbps回線を思う存分使い倒すのには丁度いい入り口だと思うんですよね、Dream Machine Pro。
実際にはDream Machin Proの下にAggregation、何かしらの10GbE/SFP+ポートがそこそこあるスイッチを組み合わせるのでもう少し投資は必要なんですが、意外とコンシューマー製品でも10Gbps対応を謳う製品は5万円前後と値の張るものが多いですし、そこにちょっと上乗せすればこんなかっこいいネットワークスイッチというかルーターが手に入るなら実質0円とか言っていいと思うんです。
皆さんもぜひ、Dream Machine Proを買って快適なインターネットを満喫しましょう!
明日のベストバイガジェットは最終日、主催の質(@_0_zero)さんが担当です。
正直何をベストバイに挙げてくるのかさっぱりわからないので、僕も楽しみ。
