現在、GREEN FUNDINGにてクラウドファンディング実施中のUGREENのNAS「NASync」シリーズ。
前回の記事では基本仕様や外観、セットアップなど基本的な部分をざっとご紹介しましたが、今回はもう少し踏み込んで、NASyncを実際に使って便利やおもしろいと感じた機能などを紹介していきます。
内蔵ドライブと遜色ない転送速度
NASといえば外付けHDDなどに比べ転送速度(読み書き速度)が遅く、大容量ながらデータの転送に時間がかかる点でイマイチ使い勝手が悪いといった印象を持っている人も多くいます。
筆者自身も大昔、最初に使ったNASは秒100MB未満の転送速度で、せっかく導入したのにイマイチ使い勝手が……とガッカリした経験も。
その点、NASyncシリーズはエントリーモデルの「DXP2800」でも2.5GbE搭載、それ以上のモデルになると10GbE搭載と、転送速度については期待できる仕様です。
そこで実際にCrystalDiskMarkを使い、NASyncへのデータ転送速度を確認してみました。
筆者宅はLAN内を10Gbps化しているため、ネットワーク機器側がボトルネックになることはないため、NASyncの仕様上かつ理論上の最大速度が出るかどうか試すにはもってこいの環境です。


10GbEを搭載したDXP4800 Plusの方が速いのは当然なんですが、シーケンシャルリードの最大速度(MByte/秒)を「Gbps」に直した場合、どちらも2.5GbE、10GbEの上限速度を記録しています。
HDDの接続に利用されるSerial ATA 3の理論上の最大転送速度は約600MB/秒。そしてHDD自体の内部転送速度は200MB/秒~300MB/秒くらいと言われているので、DXP2800の転送速度の測定結果は、PCにHDDを内蔵している場合や、USB 3.0で接続する外付けHDDとほぼ変わりません。
またDXP4800 PlusはM.2 NVMe SSDも組み合わせているため、HDDのみを搭載しているDXP2800よりも読み書き速度が速くなる構成なので、10GbEとの組み合わせで外付けのSSD並の速度でデータの読み書きが行えます。
つまり、NASyncシリーズのNASは「外付けHDDなどで増設するHDDと、同等の速度で利用できる」ということ。
「NASは遅い」とはもう言わせない、そんな仕様になっています。
HDMI出力機能が便利、おもしろい
NASyncシリーズにはHDMI出力ポートが備わっています。

「なんでNASにHDMIが?」となるんですが、これ、使ってみると結構便利な機能でした。

HDMI出力ポートから、適当なモニターやテレビに、市販のHDMIケーブルで繋げば準備はOKです。
あとはNASyncシリーズのスマートフォンアプリの「シアター機能」を使って、保存された動画を選択すると、繋いだモニターやテレビで動画再生が行われます。


何が便利って、わざわざNAS上に保存されたデータをまたダウンロードしてきて、それから再生して……という手間がないのが便利なんですよ、これ。
NASってスマートフォンやカメラで撮影したデータの保存先、もっといえば「バックアップ先」になることは多いものの、保存したデータを見返すことってあまりないんですよね。
何千、何万というファイルが保存される中から探してPCやスマホにデータを移して……と、ここまでやらないと再生できないとなると、データを溜めるだけ溜めてそのまま放置になりがちです。
NASyncシリーズであれば、例えば子供の写真や動画をどんどんここに保存していって、テレビに繋いで好きなときに成長記録を皆で見る、なんて使い方ができます。
(これ、筆者の娘が小さい頃に欲しかった~~~~!!!)
レビュー用にテレビに繋いだところもお見せしたかったものの、ちょっとテレビ周りがね……お見せできる状態じゃない散らかり具合なので「イメージ」でお伝えするに留まっちゃうのが悔やまれるんですが「パソコン周辺機器のNAS」というよりも、他社製品をもっと高機能にしたやつとして選んでもいいかもしれません。
開発者向けの便利な機能がもりだくさん
NAS=データの保存先、というのは一般的な認識、使い方です。
が、ちょっとギークな人になると「NASもサーバーの1つ。色々動かすのに便利。」のようなことを言い出します。筆者もそういう色々言い出す一人です。
UGREENのNASyncシリーズも例に漏れず、そういう「ギークな使い方」が行えるNASです。
割と機能には富んでいて、アプリストアから簡単に導入できるものだと「仮想マシン」「Docker」あたりは、Web系の開発を行っている人であれば使えて嬉しい機能ではないでしょうか。

仮想マシン機能、いわば「VM」ですが、ローカルのPC環境に作ってもいいものの、限られたリソースをVMに割り当てるのももったいないですし、だいたいの人は「余ってるPCをLinuxサーバーにした」だとか、今だと「ProxmoxでVM基盤を構築した」あたりが一般的でしょう。
ただそんな都合よく余ってるPCがあるとも言えませんし(そういう人はなぜかPCが余っているのが常とか言わない)、導入するNASの豊富なストレージスペースで、VMを動かしてしまった方が楽ですよね。
それにGUIで簡単にVMの管理ができてしまうのであれば、立てては壊して立てては壊して……とするのも楽ちんです。

仮想マシンに近しい機能として、OSではなくアプリケーションを仮想化、動作させる「Docker」の環境もアプリストアから簡単に導入することができます。
筆者がよく使うのはWordPressなどのCMS、LaravelだったりCakePHPなどのPHPフレームワークの開発環境をサッと用意するのにDockerを多用しています。
もちろん、他にも便利なWebアプリケーションを開発用だけでなく、実運用として自宅内に建てておきたいといった場合にも便利です。
もちろん、仮想マシンにしてもDockerコンテナにしても、使うIPアドレスやポートの指定も簡単に変更できますし、知識や技術があればLAN内からしかアクセスできない or 外部からもアクセスできるようにするといった設定も行うことができます。
前回の記事で「「メインメモリの交換、増設」に対応しています。」と紹介していますが、VMやDockerで色々と動かすとメモリは足りなくなってくるので、NASyncシリーズのNASであれば容易にメモリを交換、増設して、こうしたギークな使い方をするのにも向いているというわけです。
ついでを言えば、搭載されているCPUも「第12世代Coreプロセッサ」なのでNASとしてはかなりパワーがあり、複数のVMやDockerコンテナを動作させても動きが緩慢になることもありません。
「スマホ世代に向けたNAS」と前回ご紹介していますが、実のところ、かなりギーク向けの機能に富んでいるのがNASyncシリーズのNASなのです。
正直書き切れないくらい、まだまだギーク向けの機能がありますが、ちょっと記事の趣旨と変わってきてしまうのでそのあたりは、また機会があれば。
一般のご家庭にも、逸般の誤家庭にもオススメのNAS
UGREENのNASyncシリーズのNASですが、初心者向けのとっつきやすいNASとして、スマートフォンアプリとの連携などかなり作り込まれた好印象のNASに仕上がっています。
付随する様々な機能と組み合わせることで、ただのデータ保管先ではなく、保存したデータを活用し、便利に楽しく利用できる工夫も多く、これまでの「なんだか難しそうなパソコン周辺機器」ではない、一家に一台置いて使ってみたいと思えるNASです。
また、その上でギーク向けの機能も充実しています。
このあたりは先行する他社製品、特に法人向けのモデルにもある機能ですし、ナレッジもそちらの方が充実しているでしょうから圧倒的にNASyncシリーズが優位かと言えばそうではないんですが、それなりに高性能のハードウェア構成で、しかも比較的安価に購入できるという点でのアドバンテージがあると感じました。
一般のご家庭にも、逸般の誤家庭にも、どちらであっても満足度の高いNAS、それがUGREENのNASyncです。
クラウドファンディング期間も残すところあと3週間ほど。モデルによっては予定販売数(募集数)も少なくなってきていますので、気になる人はどうぞお早めに出資を。