Galaxy Z Flip4を使い始めて約1年が経過しました。
もっと早くにレビューをお送りしようと考えていましたが後継モデルの「Galaxy Z Flip5」の発表・発売のこのタイミングまですっかり塩漬けにしてしまいました。
そのままお蔵入りさせることも考えましたが後継モデルだけでなく、国内でも他メーカーから似たようなフォルダブルスマートフォンが登場するなどしばらくは注目を集めるジャンル・機種だと思いましたので、今後Galaxy Z Flipシリーズを始め縦折りのフォルダブルスマートフォンを購入する人に参考になればと考え、だらだらと今更なレビューをお送りします。
Galaxy Z Flip4の基本仕様
Galaxy Z Flip4はチップセットにQualcomm Snapdragon 8 Gen 1、メモリは8GB搭載で防水・防塵にも対応するなどハイエンドモデルに属するスマートフォンです。
同時期に発売になる「Galaxy Z Foldシリーズ」の方がメインメモリの容量も多く、専用のスタイラスペン「Sペン」での手書きに対応するなど性能・機能で富んでいるため、Galaxy Z Flipシリーズはハイエンドモデルながらフラグシップモデルではありません。
価格についてもGalaxy Z Foldシリーズが日本円で25万円前後に対し、Galaxy Z Flipシリーズは15万円前後、安いときには10万円前後で購入できるため、iPhoneでいえばProでないモデルのような扱いをイメージするといいでしょう。
つまり、話題の折りたたみスマートフォンを、常用するに不満のない性能とあわせお手頃価格でご提供するためのモデルという位置付けです。
ちなみに筆者が購入したのは香港版の「SM-F7210」で、ストレージは512GBのモデル。128GBでもよかったんですが在庫がなかったので。
本体カラーは日本国内では取り扱いのなかった「Blue」で、淡いパステル調の水色ですが、強い光を当てるとキラキラとパールの輝きも感じられる上品なカラーです。
折りたたんでコンパクトな本体×ポップなカラーリング
海を挟んだ隣国ではGalaxy Z Flipシリーズはナウいヤングにバカウケみたいな話を結構聞きます。
確かに閉じた状態のサイズ感はナウいヤングの小さなバッグへの収まりも良さそうですし、実際に閉じた状態では浅いポケットにもしっかり収まるため、最近の大きなスマートフォンの収まりの悪さからすると「こういうのでいいんだよ」と感じられるポイントです。
本体カラーもGalaxy Z Flip4は淡いパステル調のカラーがラインナップされていますし、後継のGalaxy Z Flip5でも似たような系統のカラーが用意されているため、コンパクトな本体との組み合わせが生えるポップなカラーリングは、先の持ち歩きやすさと相まって「自分のデバイス」として肌身離さず持って歩くのに丁度いいなと感じます。
純正ケースも本体カラーにあわせたパステルカラーがかわいい。
折りたたみなので上半身と下半身の2パーツに分かれているので、例えば同じケースの色違いを上下で変えて取り付けるようにすれば「自分だけの1台」にカスタマイズすることもできます。
またGalaxy Z Flip4にはストラップホールがありませんが、ケースによってはストラップホール付のものあり、そこに好きなストラップを取り付けて使うのもいいかもしれません。
……というより、ファッションの「Y2K」の流行りの延長にあるのか、そんな飾り付けをされて持ち歩いている様子をGalaxyの地元・韓国の映像の中では見かけることが多々あります。
折りたたみのギミック以上に、コンパクトさとケース・アレンジの幅の広さはデザインの幅の狭まったスレート形状のスマートフォンの中で自分らしさの表現に丁度いいわけです。
多分筆者が10代~20代前半で、Galaxy Z Flip4を使っていたらもっと自分らしいケースやストラップを組み合わせて使っていたでしょう。
折り目はそんなに気にならないが、折りたたみ機構は活かしきれていない
フォルダブルスマートフォンが登場した当初から言われているのが「折り目」の見た目や反応。
ちょっと意地悪に開ききっていない状態や、強い光を当てると折り目は目立ちますが、普段使っている限りで折り目が気になることは稀です。
画面のスクロール操作時に折り目が気になったり、折り目の部分は反応しないといったこともありません。
動画視聴時など、折り目がコンテンツの中央に来てしまう場面でも画面や周囲の明るさ次第ではありますが、日常的に使用していて折り目が気になってしまうことはほとんどありません。
ただ折りたたみである必要性については疑問点が残ります。
上で書いたように折りたたんでコンパクトになったり、その形状を活かしたデザインはおもしろいのですが「折りたためることで何か便利になったのか」と聞かれると微妙です。
例えば「開ききらない状態で自立する」ことを活かして「動画の視聴がしやすい」とか「ビデオ会議の際に見やすい・写りのいい角度をつけて使える」とか「三脚やスタンドが欲しい場面で便利」のような紹介も見かけますが、それってGalaxy Z Flip(Fold含め)だからこそではないと思うんですよね。
フィーチャーフォンを通ってきた世代からすると「昔もそうだったよね」と思ってしまうわけです。
もちろんフィーチャーフォンの全盛期は10年以上前なのでコレは車輪の再発明だ!と評価することもできますが、特段すごいことかと言われたら疑問が残ります。
スマートフォンの強みはなんだろうと考えたときにソフトウェアやサービスの進化でできることの幅がどんどん広がることだと思うので、Galaxy Z Flipシリーズの折りたたみ機構にドハマりさせられる何かが今後出てくることに期待したいな~と。
こってりめ、SNS映え重視のカメラ
Galaxy Z Flip4のカメラは広角+超広角の2カメラ構成。スマートフォンとしての基本性能はハイエンド~フラグシップ相当ですが、望遠カメラやマクロカメラ、LiDAR等の深度センサーを搭載しないあたりにある程度の割り切りや、ファッション性を重視したことが伺えます。
日中の作例で感じるのは空の鮮やかさ。「いつものGalaxy」と言われればそうなんですが、傾向としてはこってりめ、SNS映え重視の発色です。
5,000万画素前後のセンサーを搭載するスマートフォンも珍しくない最近のカメラからすると約1,200万画素は物足りなさもありますが、木の枝先などを拡大して見ない限りは解像感が大きく劣っているようには見えないため、写りそのものは良好といえるでしょう。
夜景を被写体に広角・超広角の作例。
超広角は周辺に少し流れや歪みを感じますがダイナミックな写りの印象はよく、夜景を被写体にしても照明が白飛びすることもありません。
作例から「昨年から塩漬けにしていた」のがバレてしまいますが、これからの時期にスマートフォンでついつい撮りたくなるイルミネーションの撮影もGalaxy Z Flip4の得意技のひとつです。
日中の作例のように「やりすぎ」なくらいこってりとした発色は気になりますが、イルミネーションのように強い光に対しても白飛びさせず、むしろ元の光源の色を再現しようと頑張ってくれるのでキレイな風景を写真に収めるには丁度いいパートナーです。
最後に屋内・食事。
スマートフォンのカメラが不得意だと言われてきた食事の撮影も、Galaxy Z Flip4ほどの機種にもなれば余裕といえます。
ただ、傾向としてはここでもこってりめの発色になるため、この作例で言えばトンカツは揚げすぎたようにも見えますし、ラーメンのスープも卓上に備え付けられた辛味噌を溶かした後のようにも見えます。
また全体的にカメラの発色はこってりめだけでなく暖色傾向です。瑞々しい被写体(今回で言えばトンカツのキャベツ)は少し元気がなさそうにも見えてしまうため万能なカメラではありません。
このあたりは「いつものGalaxyだな」と評することもできるかも。
バッテリー持ちは優秀、サブディスプレイの使い勝手も良好
スマートフォンの評価のひとつに「バッテリー持ち」を挙げる人は多いでしょう。
Galaxy Z Flip4はその形状から最近のスマートフォンとしてはバッテリー容量は3,700mAhと少なく、5,000mAh前後のバッテリーを搭載した他のスマートフォンと比べ「バッテリー持ちが悪そう」に思えます。
実使用は日に2~3時間の通話とGoogle ChatやSlackの通知がバカスカ飛んできて、それをチェックして返して……という使い方でも1日~1日半は持ちます。
休日はほとんど使わないので、金曜の夜~土曜の朝でフルに充電した後は充電器から外し月曜の朝時点でも50%以上のバッテリー残量があるのでなんとか月曜日いっぱいはバッテリーが持ちます。(稀に本当に電話等多く、途中で充電する日もありますが)
また使い勝手の面でも本体を折りたたんだ(閉じた)状態でも、サブディスプレイでちょっとしたアプリケーションを利用できるのは便利。
閉じた状態でも通知とその内容をチェックしたり、タイマーや音楽プレイヤーの操作ができるのは「使うために開かないでいい」という、折りたたみ故の「開かないと使えない」をなくす工夫として優秀です。
後継かつ現行モデルのGalaxy Z Flip5ではディスプレイが大型化され、そのまま多くのアプリを利用できるようになるなどの進化は羨ましくもありますが、必要以上に飛んでくる様々な通知に縛られない””ほどよい距離感””で付き合っていけるという点ではGalaxy Z Flip4までのサブディスプレイの作りの方が個人的には好みです。
もっと流行ってほしいフリップ形状
初めて携帯電話を持って丁度20年くらいで、半分がフィーチャーフォン、半分がスマートフォンを使っていた筆者からするとフォルダブルの中でも縦折りのフリップ形状は懐かしく、なんとなくパカパカしているだけでも楽しいです。
元々の購入の動機も「通話によく使う番号のSIMを入れる端末として、フィーチャーフォンライクなフリップ形状は通話しやすそう」だったので、そこでもGalaxy Z Flip4のフリップ形状に青春を共にしたフィーチャーフォンの面影を追っていたわけです。
当たり前ですがGalaxy Z Flip4は「フリップ形状のスマートフォン」であって「フィーチャーフォンを再現したスマートフォン」ではありません。
ヒンジのフィーリングもフィーチャーフォンとは違いますし、動きや形状に懐かしさを抱いても使い勝手は最新のスマートフォンとなることは忘れてはいけないでしょう。
国内ではAndroidを採用した「ガラホ」も一時期携帯電話各社から登場しましたが、Galaxy Z Flip4は歴としたスマートフォンです。
この形状はやはり懐かしさを感じたり、若い世代からすると目新しさを感じるかもしれませんし、使わないときにコンパクトな形状になることは1年間使っていてスマートフォンとの程よい距離感を持てるため使いやすいと感じました。
フリップ形状が覇権を握るとは1ミリも思っていませんが、もっと流行って多くの選択肢が出てくると手に取る人は増えるはず。
欲を言えばもう一回り小さく性能面も少し抑え、価格もお手頃になった「Lite」的なモデルが出てきてくれると、スマホにサイズも機能も「大」を求めない層にもっとリーチできるのではないでしょうか。というより、筆者としてはそういうモデルが欲しい。
兎にも角にも、形状の珍しさからまだキワモノのように扱われることも多いフォルダブルスマートフォンの中でも、縦折りのフリップ形状は普通にスマートフォンとして使い勝手は悪くありません。
価格も型落ちになったGalaxy Z Flip4ならこれから値段も下がってくるでしょうし、中古に目を向ければGalaxy Z Flip3はお買い得感も高いため、キワモノではなく有力な買い替え先としてGalaxy Z Flipシリーズの購入の検討はオススメです。