海外では2021年から活動している米Qualcommのファンコミュニティ「Snapdragon Insiders」。
日本国内でも昨年以降の開始が示唆されていましたが、ついに2023年3月からスタート。
これに伴い都内某所で実施されたイベント「Snapdragon Insiders Japan Kickoff」に参加してきました。
この手のオフラインイベント自体が久々だったこともあり、せっかくなので簡単にですがイベントの様子をレポートします。
Snapdragon Insidersって、なに?
今回スタートする「Snapdragon Insiders」ですが、冒頭でファンコミュニティと書いたものの、何を行うコミュニティなのかはイメージできない人も多いでしょう。
そもそもこの手のファンコミュニティは「完成品を世に送り出すメーカー」が実施することが常です。
ガジェット好きへ向けたこの手のサービス・コミュニティの一例だと、過去に実施されていたASUSの「ZenFan」「A部」や、ブロガーなどをターゲットにしたサムスンの「Galaxyアンバサダー」などがこれにあたります。
Qualcomm自身はスマートフォンなど完成品をユーザーに提供はしていません。雑にいえば「チップメーカー」であり、Qualcomm Snapdragonはユーザーに届く完成品の””1部品””でしかありません。
日常的に使うスマートフォンの多くはQualcomm Snapdragonを搭載しています。
スマートフォンだけでなくスマートウォッチやワイヤレスイヤホンにもQualcommのチップを採用した製品は世の中に溢れています。
AppleのiPhoneも「自社で開発したCPU」として「Apple Aシリーズ」のアピールを毎年行っていますが、CPUこそ自社製であっても通信チップはSnapdragonファミリーのチップを過去何度も採用してます。
Sanpdragonはユーザーからすれば””1部品””かもしれませんが、今や日常的に使われるようになったモバイルデバイスの利便性は、Qualcommのテクノロジーの産物といっても過言ではないでしょう。
Snapdragon Insidersは今や生活から切っても切り離せないSnapdragonの凄さを伝えると共に、ファンに対し最新のSnapdragon製品群の情報発信や、Snapdragonならではの体験を提供するコミュニティサービスです。
15年以上の歴史を持つSnapdragon
前置きが長くなりましたが、ここからは実際のイベントの模様をご紹介。
キックオフイベントの挨拶はクアルコムジャパンの社長 須長氏。
主にSnapdragonのこれまでとこれからの歩みについて、Snapdragon Insidersへの期待について語られていました。
Snapdragonの歩みとして一例に挙がっていたのは2009年に登場したWindows Mobile 6.1を採用した東芝製スマートフォン「TG01」です。
当時のスマートフォンは3.5インチ、解像度もQVGA~VGA程度だったのに対し、TG01はローエンドのノートPCのSVGAに近い「800×480」と高解像度のディスプレイを搭載していました。
この高解像度ディスプレイを快適に操作できたのも、Snapdragonが当時のモバイル向けのCPUとして高性能だったから。
TG01は日本国内ではNTTドコモから「T-01A」として発売され、筆者もT-01A以前に使ってきたWindows Mobileを採用するどのスマートフォンよりも動作が軽快なことに驚いた記憶があります。
【余談】当時の筆者の仕事はEMOBILEの販売スタッフ。HTC Touch Diamond(S21HT)などWindows Mobile採用スマホを多数取り扱っていたので「負けた」と感じたのがT-01Aでした。
また現在の歩みとして「ヘテロジニアス・コンピューティング」についての言及も。
ヘテロジニアス・コンピューティングとはなんぞや?と、これもおおまかに端折って説明すると「性能の違うCPUを、1つのチップにまとめ、効率よく動作させる技術」です。
PC向けには2021年に登場した「Intel 第12世代Coreプロセッサ」でヘテロジニアス・コンピューティングに取り組んでいますが、Snapdragonは約10年前には「big.LITTLE」技術の呼び名で性能の違うCPUを、1つのチップにまとめ製品化を実現しています。
最新の「Snapdragon 8 Gen 2」でも性能の違うCPU4種類を、合計8つ、1つのチップにまとめ性能の向上かつ消費電力の削減といった効率化を行っており、注目技術である「ヘテロジニアス・コンピューティング」は、他社比で一朝の利も実績もあるわけです。
「携帯電話の進化はSnapdragonの進化」と締めくくった挨拶でしたが、一例に挙がったTG01に限らず、Snapdragonなしにはフィーチャーフォンをスマートフォンが置き換えることは難しかったかもしれません。そのくらい、携帯電話の進化の歴史にSnapdragonは不可欠だったと言えるでしょう。
世界で820万人が参加するInsidersの魅力
須長氏に続き、クアルコム シーディーエムエー テクノロジーズの根本氏が登壇。
根本氏からはSnapdragon Insidersのこれまでの実績や国内での展開予定について詳細な説明がありました。
Snapdragon Insidersのこれまでの活動として、オンライン・オフラインの両方でファン参加型のイベントを実施。
メンバー限定グッズのプレゼントではノベルティだけでなく、Snapdragonを採用するスマートフォンの専用ケースプレゼントなども行われているそうです。
オフラインイベントではハワイで毎年行われている同社の発表イベント「Snapdragon Summit」へファンを招待するといった催しも。
年々市場が広がっているモバイルゲーム市場をより盛り上げるべく、世界大会として実施している「Snapdragon Pro Series」も開催中。なんと今年5月には日本国内でセミファイナルが開催予定とのことでした。
Snapdragon Insidersの世界での登録者数はすでに820万人を突破。国内では9月末までに数千人の後の方(1万人弱?)の登録者を目指していくそうです。
国内でのSnapdragon Insidersのイベントや特典について具体的な言及こそありませんでしたが、Snapdragon Insidersを通じて若年層へのアプローチを行いたいなど、ギークだけでない新規のファンの取り込みへの意欲も見せるなど、今後オンライン・オフラインの双方でSnapdragonのロゴを見かける機会などは増えそうだなと感じました。
Snapdragon Insidersへの参加方法
今後の展開が楽しみなSnapdragon Insiders、ガジェット好きであれば参加しておいて損はないでしょう。
もちろんガジェット好き以外でも、Snapdragon Pro Seriesのようなeスポーツに興味のある人も参加しておくべきです。
気になる参加方法は「Snapdragon Insiders JapanのTwitterアカウントをフォローするだけ」です。
海外ではQualcommの公式サイトから氏名・メールアドレスの登録が必要になっていますが、日本では公式サイト側の準備が整っていないようで、キックオフ時点ではTwitterアカウントのフォローで参加扱いとなります。
実際のところ、先行して活動している海外のSnapdragon Insidersも最新j情報はTwitterで発信されていますので、日本においてもTwitterアカウントのフォローが一番Snapdragonについて、様々な最新情報を知ることができる方法と言えます。
モバイルテクノロジーあるところにSnapdragonあり
記事タイトルにもしていますが、今回キックオフイベントのお土産に書かれていた「モバイルテクノロジーあるところにSnapdragonあり」という言葉に、首を縦にぶんぶんと振りまくっています。
須長氏の「TG01の話」のように昔話になりますが、筆者自身長く携帯電話販売の現場に身を置いてきた中で、特にお客様からの指名買いや購入後に高評価だった機種には、必ずと言っていいほどSnapdragonが採用されていました。
この経験から今も「Snapdragon搭載だったら大丈夫だろう」と、ある種盲目的に新製品の仕様・性能を評価してしまうのですが、それだけ「Snapdragon=安心」といえるだけの実績があるわけです。
そして新しい製品だからこそ、何か今までと違うことができるだろうと期待を抱いてしまうのも「Snapdragon搭載だから」とも言えます。
携帯電話のゲームといえばボタンをポチポチするだけのブラウザゲームや落ちモノパズルゲームが主だった中、いつの間にかPCやゲームコンソールのAAAタイトルと遜色ないクオリティのゲームが遊べるようになったのも、Snapdragonの進化の賜です。
それだけのクオリティのゲームだからこそ、賞金の用意される大きなeスポーツ大会が成立するとも言えますし、大会を円滑に進められるようしっかりとした動作が保証できるだけの性能を有しているのも、Snapdragonを搭載したゲーミングスマートフォンの存在があるからです。
もちろんSnapdragonの活躍の場はスマートフォンに限らないのですが、身近でもっともテクノロジーの進化を感じられる、一人一台の所有が当たり前になっている「モバイル」「スマートフォン」と、切っても切り離せない存在がSnapdragonです。
筆者のようなギーク以外に「Snapdragon」のブランドが認知されること、製品選びの理由になることが、Snapdragon Insidersの活動にかかっているのではないでしょうか。
それだけにSnapdragon Insidersには、きっと今までにないおもしろい体験が用意されているはずだ!と、期待せざるを得ないのです。